アランの『幸福論』。
誰でも幸せな人生を望んでいます。これは、時代を超えた人間の本望でしょう。
如何にしたら幸せになれるのか。
そんな幸せを考え続けた人がいます。
学生の頃、本屋の書棚で気になっていたのが『幸福論』のタイトルでした。
アランの『幸福論』は、幸せへの道なのか
『幸福論』を読めば、幸せになれる。
この本を読めば幸せになれるのだろうかと、考えていましたが、その本を、その頃は、手にすることはありませんでした。
きっと、『幸福論』なんて言うタイトルの本を、読む自分が気恥ずかしかった事と、
その本を店員さんに差し出す、気恥ずかしさがあって、とても勇気が無かった為だと思います。
この本をやっと買えたのは、子供が生まれた頃でしょうか。
アランは教師時代に新聞にコラムを寄稿。
アランの生い立ち。
アランは、フランスのノルマンディー出身の哲学者、著述家、評論家で、モラリストです。
アランと言う名前はペンネームで、本名は、エミール=オーギュスト・シャルティエという名前です。
フランスの高等師範学校を卒業し、フランスの後期中等教育機関『リセ』(日本の高等学校に相当)の、教師になりました。
教師時代にアランの名で、「デペーシュ・ド・ルーマン紙」に、
週一回のペースでコラムを寄稿し、教師退職後も、執筆活動を続けたのでした。
彼は文学や美学、教育、政治に関する内容を、エッセイ形式のコラムを寄稿、これにより名声を博したのです。
そして、彼は『幸福論』を1925年に出版したのです。
『幸福論』は3種類ある。
世界三大『幸福論』。
『幸福論』には、世界三大『幸福論』が、あると言います。
ヒルティの『幸福論』1891年、アランの『幸福論』1925年、ラッセルの『幸福論』1930年です。
どれを読んだら、より幸福に近づくことが出来るのか、そんな邪念を抱いてしまいそうな、「幸福論」の多さです。
アランが『幸福論』で、言いたかったこと。
アランは『幸福論』で、何を言いたかったのでしょう。
概略で言うと、
「幸福になろうとしないと、幸福にはなれない。そして、それは心と体の使い方で決まる。」と、言うことらしいのです。
アランは、「気分と言うものは、いつも悪いもので、幸福になるためには、コントロールが必要だ」と、言うのです。
感情や、情念に振り回されないようにしたり、愚痴を言ってはいけないと言っています。
不機嫌な状態では、精神的なものよりも、体に変調を来たすとしました。
自分自身と喧嘩をしないように、上機嫌を生活の第一に考えて、
ポジティブシンキングで、幸福になる努力をする事だと言います。
そして、「幸せにはキリがない」とまで、言っています。
一つの不満をクリアーすれば、次に満足できないものが出て来る。そう人生は不満の連続なんだと。
人間の欲望にはキリがないようです。
だから、自分を上手にコントロールすることが、幸せへの近道だと、言いたいのでしょうか。
アランは、幸福や不幸は自然に降って来るものではなく、自分で作り出すものだとして、
不幸に感じている人は、得てして周囲や環境の悪さを、その原因に求めていると言うのです。
自分がマイナス思考に向いてしまい、結果として不幸を呼び寄せている。
幸福になるには、自分の不幸を他人に話す事をしないようにと諭しています。
アランの「人生の名言」「お金の名言」
アランの名言。
「いわゆる、金儲けのうまい人は、無一文になっても、自分自身という財産を、まだ持っている。」
人生で最大の財産は、自分自身ではないでしょうか。
余程の資産家の元で生まれない限り、人の生涯は、ゼロから資産を作り始めるものです。
その人が、教育や知識、技能を身に付けながら、成長するとともに資産を増やして行きます。
自分と言う財産を、しっかり持っている人であれば、
思わぬの出来事で、地位や財産を、万一無くしたとしても、また、復活出来る力を持っていると言います。
自分自身と言うの財産を持っていれば、その能力を生かして、前に進めるのです。
「幸福な人は、幸福だから笑っているのではない。笑っているから、幸福なのだ。」
正に、幸福は行動が伴って、掴むものだと言うことを、表現している言葉です。
「つまらぬ本を、100冊読むよりは、優れた本を100回読むほうが、遥かにためになる。」
1冊の本を100回読むことは、大変なことでしょう。
私が高校生の頃からたびたび読んで来た本は、夏目漱石の『こころ』ですが、それでも、10数回でしょうか。
高校の現代国語の教科書の中に、『こころ』の抜粋があって、
その明治の風情や、人情に惹かれて、すぐに文庫本を買い求めて、それ以来、事あるごとに読んで来ました。
年齢を重ねるに従って、感じ方が違うことが、面白いと感じています。
アランが言うように、如何に優れた本でも、同じ本を、100回は読めませんが、良い本は、人を成長させて呉れるでしょう。
森本哲郎さんの言葉。
「万里の道、万巻の書」
「万里の道、万巻の書」私の好きな言葉です。この言葉を教えて呉れたのは作家の、森本哲郎さんでした。
たくさんの本を読むことは、世界中を旅することに匹敵する。だから、私は出来るだけ多くの本を読み、集めようとしたのです。
幸せな国、ブータン。
世界一幸せな国。
ブータンは、世界一幸せな国と言われています。その幸せとは、何なのでしょう。
ブータンは、長年に亘って鎖国政策を取って来ましたが、
1971年に国連に加盟し、国民幸福量(GNH)を掲げ、国づくりをして来ました。
第3代国王が、国の発展は「国民の繁栄と幸福」と言う考え方を示しました。
ブータンが提唱するGNH・国民総幸福度とは、経済的な豊かさを追い求めるのではなく、精神的な豊かさを追求するものです。
世界が経済発展の指標としているGDPではなく、GNHを優先する国として、この考えを世界で初めて取り入れたのでした。
その幸福度を感じる根底にあるのが、医療や教育が無償で、平等に提供されていることや、高い信仰心であると言われています。
「幸福」とは、心から満足している状態を指すなら、「モノ」がそこまで満足に手に入らない国や人々でも、
心の安定としての、精神的な負担を減らす状態になることで、幸福度が増して行くのでしょうか。
お金やモノに囲まれていても、精神的な充足や安息を保つことが難しく、幸福感が得られない事だってあるのです。
幸福度ランキング。
北欧諸国はランキング上位。
「幸福度ランキング 2020年版」が、国連の関係団体が公表しています。それによると、上位の国は、北欧諸国が多いのです。
1位、フィンランド。2位、デンマーク。3位、スイス。4位、アイスランド。5位、ノールウェーで、
その要因として、社会保障が手厚く、質の高い教育が受けられることが挙げられています、因みに、日本は62位でした。
お金と幸福の関係。
年収が上がるだけでは幸福感は得られない。
2015年にノーベル経済学賞を受賞した、プリンストン大学のアンガス・ディートン教授らは、
アメリカ国民を対象に、年収と幸福度に関する調査を、2008年~2009年に掛けて実施したそうです。
その調査によれば、年収7.5万米ドル(1米ドル=106円換算で約800万円)までは、
収入が増えるにつれて、幸福度も上がる傾向にありした。
しかし、その相関性は年収7.5万米ドルを境に、伸びがゆるやかになったそうです。
つまり年収7.5万米ドルでも、年収10万米ドルでも、幸福度に大きく影響はしていないと言うのです。
収入がたくさん増えるということは、それだけ仕事に費やす時間や、抱えるストレスも増す可能性を含んでいます。
年収が増えることで、様々な購買や体験もできる反面、
こうした要因が絡むことで、幸福度に伸びにくくなるのかもしれないと言うのです。
「アランの『幸福論』の名言と、お金(収入)と幸せの関係性。」への4件のフィードバック
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