『麒麟がくる』明智光秀の派手で鮮やかな衣装デザインの秘密

 

『麒麟がくる』の衣装担当は、黒澤和子さん。

 大河ドラマ『麒麟がくる』は、NHK大河ドラマの59作目となります。

 この『麒麟がくる』は、戦国時代の創世記に、勇猛果敢に戦場を駆け抜けた、熱い血潮を持つ、英傑たちの野望と、その人生を描いています。

 そして、その題名の『麒麟はくる』は、中国の古典に由来しています。

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『麒麟』は中国の古典に由来。

五色で彩られた身体を持つ麒麟。

 中国の古典『礼記』によれば、王が仁のある政治を行なう時に現れる神聖な生き物「端獣」とされ、

 鳳凰、霊亀、応竜とともに、「四霊」と総称されている事から、幼少から秀でた才を示す子供を、麒麟児と称するようです。

 『礼記』とは、周から漢(紀元前200年頃)にかけて、儒学者がまとめた、礼に関する書物を編纂したもののようです。

 一説によると、牡(オス)を麒、雌(メス)を麟と言うそうです。

 牝には角が無く、牡の持つ角は、ヨーロッパのユニコーンに於ける角と同様なようです。

 五色で彩られた身体を持つ麒麟は、武器であるその角は、先端が肉で覆われているため、相手を傷つけることがないとされています。

 そして、麒麟は聖天子の治世に限って、出現する端獣とされました。

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平和な世に現れる麒麟。

 麒麟は平和な世に現れるとされており、昔から人々は福を求めて、麒麟を崇めて来たのです。

 こうして、戦乱の世を終わらせる人物が、麒麟が連れて来ると言われていて、麒麟が来ると言うことは、平和な世になる意味だったのです。

 そんな、『礼記』に記されている「五色で彩られた身体を持つ麒麟」と言う事からでしょうか、『麒麟がくる』は、その衣装のカラフルさが話題になっています。

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高貴な人は絹、庶民は麻を着ていた時代。

 確かに、高貴な人々は絹の着物を着ていたのでしょうから、色鮮やかな、召し物を着ていたかもしれませんが、

 当時の庶民たちは、高価な絹は手に入らなかったでしょうから、当然、麻の衣服が主流だったでしょう。

 当時は麻を藍や茶に染めていたようなので、庶民や農民たちが身に着ける着物は、藍色や茶色が多かったかもしれません。

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衣装担当の黒澤和子さんは凄い人だった。

映画界の巨匠、黒澤明監督の衣装を担当。

 『麒麟がくる』の衣装担当は、世界的衣装デザイナーの、黒澤和子さんだったんです。

 あの映画界の巨匠、黒澤明の子女です。彼女は1954年生まれの東京都出身。

 黒澤明監督の映画『夢』『まあまだよ』のほか、映画『たそがれ清兵衛』『座頭市』『武士の一分』などで、衣装デザインを担当し、

 連続テレビ小説『とと姉ちゃん』大河ドラマ『西郷どん』の衣装を手掛けたのでした。

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明智光秀の衣装デザインのイメージ画。

何枚ものイメージスケッチ。

 驚いたのは、『麒麟がくる』の衣装イメージを描いた「イメージ画」を、黒澤和子さんが描いていた事でした。

 カラフルな衣装に、緻密な衣装のイメージスケッチが、克明に描かれていました。

 例えば、明智光秀については、鎧の姿、素袴姿、田仕事の姿、駒では、小袖姿、斎藤道三の衣装などです。

 その他に、庶民たちの姿が、詳細に描かれていました。

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巨匠、黒澤明の絵コンテ。

映画界の巨匠と呼ばれた監督。

これって!、父であり、世界の映画界の巨匠と呼ばれた監督、黒澤明の「絵コンテ」を、見ているようでした。

 ビックリしました。父親のDNAが、彼女に受け継がれていたのでした。

 黒澤明と言えば世界的な巨匠です。巨匠と言う言葉は、この人のためにあるんじゃないかと思うほどです。

 黒澤明は青年期の頃、画家を志していたことは有名で、18歳で二科展に入選を果たしたほどの腕前でした。

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黒澤明の『影武者』

『影武者』の制作費抑制で絵コンテを描き出した。

 『影武者』を制作する中で、制作費をカットされたことで、再び絵筆を取ったそうで、それは、作品にかける熱い思いを丹念に描く「絵コンテ」でした。

 以来「絵コンテ」は、映画製作に欠かせない、創作過程の一つとなり、生涯2,000点の作品を残したそうです。

 その「絵コンテ」は、水彩絵の具、鉛筆、クレヨンで描かれていました。

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 「絵コンテ」は、映画を作る前に描いていて、監督の構想を絵として現すことから、

 役者や、カメラマン、照明担当、衣装担当など、すべてのスタッフが見ることで、監督の構想が分かりやすいとされています。

 そして、黒澤明の「絵コンテ」は、凄い迫力があって素晴らしいものです。

 それに負けず劣らぬ『麒麟がくる』の「イメージ画」を、黒澤和子さんは、克明に描いていたのです。

 そして、確固たる信念を持って、作り上げた衣装の世界は、監督と黒澤和子さんの世界観だったのでしょう。

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