アメリカの著名な投資家ウォーレン・バフェット氏の盟友で、
バフェット氏の投資会社・バークシャー・ハザウェイで副会長を務めていた・チャーリー・マンガー氏が99歳で2023年11月28日に逝去されました。
マンガー氏の助言はバフェット氏の投資にも影響を与えたと言われています。その教えとはどう言うものだったのでしょう。
投資をするには基準が必要
投資をする時、何を基準に投資先を選択していますか。数ある銘柄の中から選ぶには、一定の基準が必要でしょう。
世界で一番の投資家ウォーレン・バフェット氏は、どんな基準で選んでいたのかを探ると、
そこには盟友チャーリー・マンガー氏がいたのです。
世界中の投資家が、ウォーレン・バフェット氏の投資銘柄を知りたいと思っている事でしょう。
如何にして、この魑魅魍魎な株式市場で成功するために、マンガー氏から影響を受けた、
バフェット氏の投資法を知りたくありませんか。
そもそも、バフェット氏の投資法は、超割安な銘柄を発掘する「シガ―バット(しけもく)」と言う投資法でした。
それは、道端に落ちている吸い殻でも、火をつければ一服ぐらいはタダで吸えると言う例えで、
投資先の事業の成長性や、持続可能性はさておき、割安に買える機会を探すと言う投資法でした。
チャーリー・マンガーの投資法
そんなバフェット氏の考え方を変化させたのが、マンガー氏の助言で投資したシーズキャンディーでした。
1972年に買収した、西海岸拠点の有名チョコレート企業のシーズキャンディー。
バフェット氏は、当初高い買収額に乗り気ではなかったのですが、マンガー氏はブランド価値を背景に説得したのです。
シーズキャンディーの投資は結果的に、累積で約20億ドルもの利益を、バークシャー・ハザウェイにもたらしたのです。
これによりバフェット氏は「シガ―バット」の習慣を断ち切り、
規模と利益を両立させる重要性を重視する、道筋を見つけ出したのです。
これ以降、バークシャー・ハザウェイは、ブランド価値や事業モデルなど、競争優位性を持つ企業に投資するようになります。
その代表例が、1980年代から長期保有するコカ・コーラ株や、2016年に投資したアップル株でした。
『ブランド』にこそ価値がある
マンガー氏の投資哲学の礎となっているのが、「『ブランド』にこそ価値がある」と言う信念です。
それは、消費者から支持され続ける、優れたブランドを持つ企業に、適切な価格で投資することの優位性を説くもので、
ブランドに貨幣価値を付ける投資に『進化』させるものでした。
この投資法では、急速な株価の上昇は難しい点もありますが、
「忍耐強く待つことの大切さをシンプルに貫く長期投資家」と言う顔をバフェット氏に与えました。
しかし、長期に待つと言うのは決して容易な事ではありません。
ずっと株価が上がらず厳しい局面が続くこともあれば、
逆に株価が下がるのを待ちきれずに、高値で買ってしまう事もあるのです。
ましてやインデックス投資が隆盛のこの時代なのです。悠長に時間を待てないと言う投資家は大勢いる筈です。
そうした環境で、数少ない優良な投資先を見出すのには胆力がいります。
それをマンガー氏は60年近く磨いて来て、
「価値と価格の2つを比べて投資をすると言う王道をぶれずにやり続ける」ことで成功に結びつけたのです。
チャーリー・マンガーの経歴
大恐慌や第2次世界大戦を経て、アメリカの資本市場が発展する中で、投資によって富を築いて来ました。
成功ばかりではなく、1973年~1974年の株安などでは痛手を被りました。
そんな事から失敗から学ぶ大切さも、同時に説いていたのです。
それは、目先の評価や市場の変動に距離を置き、投資の本質は何かを問い掛け続けていたのです。
マンガーの名言
「適正な価格で売られている偉大な会社は、割安な価格で売られたいるそこそこの会社よりも優れている」
「過ちを犯すことで、次から対処出来るようになる」
「私が出会った賢人はいつも読書をしていた」
「自分が買おうと思わないものを売らない。尊敬をしない人のために働かない。一緒に仕事をして楽しい人とだけ働く」
「チャンスは必ず来るけれど、そう頻繁にあるわけじゃない。巡ってきたチャンスは必ずつかみ取らなきゃダメなんだ」
2023年11月30日、日本経済新聞「オマハの賢人」盟友の遺訓を抜粋しました。
マンガーの「4つの信条」
マンガー氏は人生をより良くする為の、「4つの信条」を持っていました。
(1)「自分が確実に欲しいものを手に入れたいならば、それにふさわしい人間になれるよう努力すればいい」
これはマンガー氏が幼いころに学び、実践してきた「人生の黄金ルール」です。
この考え方を実践できれば、人はお金や名誉だけでなく、周りからの尊敬と信頼を得ることが出来るのです。
世の中にはお金にふさわしい人と、ふさわしくない人がいて、本当の意味でお金持ちになりたいのなら、
それにふさわしい人であろうと努力しなければならないというのがマンガー氏の考え方なのです。
(2)「知識を得ることは、道徳上の義務である」
マンガー氏は子どもたちから「脚の生えた本」と呼ばれるほどの読書家でしたが、それは盟友であるバフェット氏も同様でした。
投資の世界では「この10年間で得たスキルは、次の10年間には通用しない」ものです。
常に学び続ける事こそが投資だけでなく人生をより良く生きられると言うのがマンガー氏の考え方です。
(3)「人生をダメにするのは嫌な人間関係である」
働くなら「尊敬できる人」「模範になる人」と働くべきというのがマンガー氏の考え方です。
無能な人と働くと、自分もダメになってしまいます。
(4)「最高の英知は、信頼関係で結ばれた人間のネットワークの中にある」
人は本を読み、常に学び続けることが必要で、
本物の知恵があるのは、信頼関係で結ばれた人的ネットワークの中にあるという意味です。
人は優れた人と付き合えば向上するが、そうでない人と付き合うとポールを滑り落ちていくというのがバフェット氏の信条です。