村上春樹さんの作品を読んだことはありますか。彼は日本を代表するベストセラー作家で、
『ノルウェイの森』や『1Q84』など、社会現象を巻き起こした小説も多数あって、国内外を問わず多くのファンがいます。
世界的に高く評価され、新刊の発売日には早朝から多くのファンが書店に並ぶ光景は、ニュースでもよく取り上げられています。
多数の著作があって、何から読めば良いのかと、悩む方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、村上春樹作品のおすすめを、ランキング形式でご紹介します。
村上春樹さんの経歴。
村上春樹さんは1949年の京都市生まれで、兵庫県で育った作家です。
早稲田大学第一文学部演劇科を卒業し、1974年にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店します。
そして、働きながら夜中に執筆した処女作『風の歌を聴け』で、1979年群像新人文学賞を受賞し、文壇デビューしました。
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』では、
谷崎潤一郎賞を受賞し、『ノルウェイの森』は、世界的大ヒットを記録しました。
毎日出版文化賞を受賞した『1Q84』を含めた小説・エッセイ・紀行文・翻訳書など、数々の名著を刊行しています。
そして毎年ノーベル賞シーズンになると、
ノーベル文学賞候補に名前が挙がり、“ハルキスト”と呼ばれる人たちを、ヤキモキさせています。
村上春樹さんの作品には、独特で不思議な世界観があり、
奇抜な比喩表現が多い点や、古今東西の文芸作品やその名言が巧みに配置され、
読者を感嘆させる仕掛けが施されているもの特徴で、そこが多くのファンを魅了しているようです。
また、喪失や邪悪な存在、戦争など内省するテーマの作品が多いのもポイントのひとつです。
音楽への造詣も深く、愛聴しているビートルズや、ウィルコなどの楽曲を作品のモチーフとしたり、
音楽関連作品などが刊行されたりしています。
村上春樹作品では、個性豊かな登場人物や、ストーリーのおもしろさはもちろん、
自由かつ大胆で、想像力をかきたてられるなど、魅力が溢れています。
村上春樹作品ランキング。
第1位 ノルウェイの森
上下2巻で累計発行部数は1000万部を突破した、世界的に大ベストセラーです。
『ノルウェイの森』では、村上春樹さんの作品に見られるような複雑さ、難解さはなく、
一貫したリアリズムの書体で書かれていることから、村上作品の入門書として、位置付けられることが多いと言われています。
主人公・ワタナベの若い頃の限りない喪失と再生を描き、新境地を拓いたとされる長編恋愛小説です。
物語は37才の主人公ワタナベが、ドイツのハンブルグ空港に、間もなく到着するシーンから始まります。
飛行機の中で、かかっていたのが、ビートルズの『ノルウェイの森』だったのです。
その時、18年前の1969年の大学時代に、何度も訪問したあの森を思い出します。
すると主人公は、頭がはりさけそうになり、両手で顔を覆い、そのままじっとしていると、
ドイツ人のスチュワーデスがやってきて、気分が悪いのかと英語で訊いたのです。
「大丈夫です、ありがとう」と言うと、スチュワーデスはにっこりと笑って行ってしまい、
音楽はビリー・ジョエルの曲に変わりました。
『森』が遠い昔の大学生の頃の 心象風景と重なり合うのです。
この作品は、1960年代から1970年始めにかけて、ワタナベが経験した、激しい一方で物静かで悲しい物語となっています。
村上春樹作品を初めて読む方や、切なく悲しい恋愛小説を読みたい方におすすめです。
『ノルウェイの森』の名言。
『ノルウェイの森』に出て来るThe Beatlesの曲は、冒頭からラストのシーンまで何回も出てきます。まずは冒頭部分の一節。
飛行機が着地を完了すると禁煙のサインが消え、天井のスピーカーから小さな音でBGMが流れはじめた。
それはどこかのオーケストラが甘く演奏するビートルズの『ノルウェイの森』だった。
そしてそのメロディーはいつものように僕を混乱させた。
いや、いつもとは比べものにならないくらい激しく僕を混乱させ揺り動かした。
「タイトル」になっているだけあって、曲の感じが凄く小説に合っています。
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第2位 海辺のカフカ
『海辺のカフカ』は、村上春樹さんが23歳の時に発表した10作目の長編小説で、
世界幻想文学大賞の長編部門を受賞した作品です。
世界的にも評価が高く、アメリカやイギリスでもベストセラーとなり、日本では2度ほど舞台化されています。
この作品は、ギリシア悲劇のエディプス王の物語や、『源氏物語』や『雨月物語』などの、
日本の古典小説などがベースとなっていると言われています。
2002年9月12日に新潮社から刊行され、2005年3月に同社で文庫化されました。
15歳の誕生日の夜、主人公の田辺カフカくんが生き延びるために、家出するところから物語は始まります。
家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけではなく、古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。
小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真などでした。
そして15歳の誕生日は、家出をするには、一番ふさわしい時のように思えたからでした。
四国松山の小さな私設図書館に暮らしながら、田辺カフカくんが成長していく様子を描いています。
この作品は2つの物語が同時進行して語られて行き、終盤になるとそれらが重なり合うように構成されています。
個性的な比喩表現が特徴的な作品で、ダークファンタジーの要素もあるため、大人向けの作品とされています。
上下2巻とボリュームがありますが、ムラカミワールドを堪能したい方におすすめです。
『海辺のカフカ』の名言。
「カラスと呼ばれる少年」がカフカくんにこんな言葉で語っています。
君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年にならなくちゃいけないんだ。なにがあろうとさ。そうする以外に君がこの世界を生きのびていく道はないんだからね。そしてそのためには、ほんとうにタフであるというのがどういうことなのか、君は自分で理解しなくちゃならない。
海辺のカフカ(上巻) (新潮文庫 新潮文庫) [ 村上 春樹 ]
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第3位 羊をめぐる冒険
『羊をめぐる冒険』は、新しい文学の扉を開いたとされる、村上春樹さんの代表的長編で、野間文芸新人賞を受賞しました。
この作品は、初期の「鼠三部作」の完結編となっいる青春小説の作品です。
三部作と言うのは、村上春樹さんのデビュー作である『風の歌を聴け』(1979.7)、
『1973年のピンボール』(1980.6)、そして『羊をめぐる冒険』(1982.10)の三作品を総称しています。
この作品は1978年に始まり、1982年秋までを描いています。
29歳の主人公のぼくに、妻が「あなたのことは今でも好きよ」という言葉を残し、出ていくところから物語は始まります。
ぼくは、大学時代の友人である共同経営者の相棒と、広告代理店を経営していました。
ある日、北海道に渡ったらしい、ぼくの親友の「鼠」から突然手紙が届きます。
同封されていた一枚の写真から、羊をめぐる冒険が展開します。
その写真を親友の「鼠」から、世に公開するよう依頼され、その羊は、背中に「星形の斑紋のある羊」だったのです。
この作品は、「鼠三部作」の他の2作品『風の歌を聴け』や『1973年のピンボール』とは異なった趣で、
ファンタジーやミステリーのような要素があるのがポイントで、物語の先の展開がとても気になりる作品です。
『羊をめぐる冒険』の名言。
職を失ってしまうと気持はすっきりした。僕は少しずつシンプルになりつつある。僕は街を失くし、十代を失くし、友だちを失くし、妻を失くし、あと三ヶ月ばかりで二十代を失くそうとしている。(上巻「羊をめぐる冒険Ⅱ」)
青春を失いかけている心情が吐露されている一節です。
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第4位 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
1980年代の記念碑的長編で、ムラカミワールドの出発点とも言われるロングセラー作品です。
静かな幻想世界と、波乱万丈な冒険活劇の2つの物語が同時進行します。
僕が暮らす幻想世界「世界の終り」は、高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、
そこに住む一角獣たちの頭骨から、夢を読んで暮らす〈僕〉の物語です。
一方、私の冒険活劇を描いた「ハードボイルド・ワンダーランド」では、
老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍します。
それぞれの世界に隠された秘密をめぐり、物語は展開してゆきます。
村上春樹さんの作品は、良くも悪くも「スッキリ終わらない」と言う傾向があります。
それが「作品の奥深さ」ともとれるし、「最後まで読んでも分からない」ともとれますが、
この作品は結末の落とし所が、比較的妥当で読みやすい作品になっています。
笑い・恐怖・思想と三重仕掛けで描かれているのが特徴で、不思議なファンタジー作品が好きな方におすすめです。
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 』の名言
誰も私を助けてはくれなかった。誰にも私を救うことはできないのだ。ちょうど私が誰をも救うことができなかったのと同じように。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上巻) (新潮文庫 新潮文庫) [ 村上 春樹 ]
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下巻) (新潮文庫 新潮文庫) [ 村上 春樹 ]
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第5位 風の歌を聴け
1979年に刊行された村上春樹さんのデビュー作で、群像新人文学賞を受賞した作品です。
僕と親友の「鼠」の物語を描いた「鼠三部作」の第1作品目で、1981年には映画化もされました。
タイトルは、トルーマン・カポーティの短編小説 “Shut a Final Door” (「最後のドアを閉じろ」)の最後の一行「Think of nothing things, think of wind」から取られました。
1978年4月1日、明治神宮野球場で行われたプロ野球開幕戦、
ヤクルトスワローズ対広島東洋カープ戦を観戦していた村上さんは、試合中に突然小説を書くことを思い立ちます。
当時ジャズ喫茶を経営していた村上春樹さんは、真夜中に1時間ずつ、4か月間掛けてこの小説を完成させました。
20代最後の歳を迎えた主人公の僕が、1970年夏の日々を綴る形式の物語です。
1970年の夏、ふるさとである海辺の街に帰省した僕は、親友の「鼠」とバーでビールを飲んだ際に、
小指のない女の子を介抱して親しくなり、退屈な時を送ります。
僕が「鼠」や女の子などの登場人物と過ごす日々や、僕の過去の記憶といった青春の一片を、
淡々とした軽快なタッチで描いている作品です。
『風の歌を聴け』の名言。
完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。
『風の歌を聴け』の冒頭の第一文です。
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第6位 女のいない男たち
村上春樹さんが2014年に、9年ぶりに発表し、ミリオンセラーになった連作短編集です。
この短編集は、緊密に組み立てられており、それぞれの作品同士が、響きあう短編小説集になっていて、
『ドライブ・マイ・カー』『イエスタデイ』『独立器官』『シェエラザード』『木野』『女のいない男たち』の6編は、
それぞれが、はっきりとしたストーリー・ラインを持ちながら、その描写は、人間の微細な機微に触れています。
すべて男性が主人公で、パートナーを失った「喪失」を主軸として描かれているのが特徴です。
『ドライブ・マイ・カー』は、脚本家である妻の音と、幸せな日々を過ごしていた、舞台俳優兼演出家の家福悠介でしたが、
妻はある秘密を残したまま、突然この世から消えます。
その2年後、家福悠介はある演劇祭で、演出を担当することになり、愛車のサーブで、広島に向かうことになります。
同タイトルは映画化もされ、2022年にアカデミー賞の国際長編映画賞を受賞し、大きな話題を呼びました。
短編のため、サクッと読みやすいおすすめの作品です。
『女のいない男たち』の名言。
「どんなに良好な人間関係であっても人はみんな同じように盲点を抱えて生きている」『ドライブ・マイ・カー』より。
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第7位 1Q84
毎日出版文化賞の文学・芸術部門受賞作で、村上春樹さんの最高傑作ともいわれている作品です。
BOOK3まで続く長編大作で、文庫版は全6冊から構成されますので、気合を入れて臨みましょう。
日本では、シリーズ累計発行部数が860万部を突破したベストセラーです。
10歳の時に出会った青豆と天吾の不思議な物語が、
ヤナーチェックの音楽「シンフォニエッタ」に導かれるかのように、交互に繰り広げられるのが特徴です。
1Q84年とは、青豆が決めた新しい世界の呼び名で、Qはquestion markのQを指します。
果たして、2人は1Q84年の世界で巡り会えるのでしょうか。独特なキーワードや不思議な世界観が謎を呼ぶ作品です。
『1Q84 』の名言。
悪い予感というのは、良い予感よりずっと高い確率で的中する。
「君は小説家になりたいんだろう。だったら想像しろ。見たこともないものを想像するのが作家の仕事じゃないか」
「希望があるところには必ず試練があるものだから」
1Q84 BOOK1〈4月ー6月〉前編 (新潮文庫 新潮文庫) [ 村上 春樹 ]
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村上春樹『1Q84』意味・冒頭・あらすじと、ジョージ・オーウェルの『1984』関係性。
第8位 ねじまき鳥クロニクル
各国で翻訳され、村上春樹さんの名を世界に知らしめた長編大作の壮大な物語です。
2020年には舞台化もされ、累計発行部数は227万部を突破しました。
法律事務所の下働きを辞めて日々家事を営む「僕」と、
雑誌編集者として働く妻「クミコ」の結婚生活は、それなりに平穏に過ぎていました。
しかし、飼っていた猫の失踪をきっかけにバランスが少しずつ狂い始め、ある日クミコは何も言わずに姿を消してしまいます。
僕は奇妙な人々との邂逅を経ながら、
やがてクミコの失踪の裏に、彼女の兄「綿谷ノボル」の存在があることを突き止めていくのです。
世田谷の住宅地から過去にさかのぼり、満蒙国境で起こったノモンハン事件と繋がっていく年代記です。
不思議で個性的な登場人物が次々と登場するのが魅力で、村上春樹さんが歴史や暴力をテーマに描いたおすすめの作品です。
『ねじまき鳥クロニクル』の名言。
金で買ってしまうのがいちばんなんだ。余分なエネルギーは金で買えないもののためにとっておけばいい。
「泥棒かささき編」岡田亨の母方の叔父さんの名言
時間をかけることを恐れてはいけないよ。たっぷりと何かに時間をかけることは、ある意味ではいちばん洗練されたかたちでの復讐なんだ。
「予言する鳥編」岡田亨の母方の叔父さんの名言
もし僕に何か強みがあるとしたら、それは失うべきものがないという点だった。
「鳥刺し男編」岡田亨の名言
ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編 (新潮文庫 むー5-11 新潮文庫) [ 村上 春樹 ]
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第9位 スプートニクの恋人
タイトルのスプートニクとは、ロシア語で「旅の連れ」を指し、ソ連が打ち上げた、人類初の人工衛星の名前です。
スプートニクのように、誰もが広大な世界でそれぞれの軌道を描き続け、すれ違い、分かれ、また巡り合う物語です。
すみれに思いを寄せる「ぼく」が、語り手として物語が進行します。
22歳の春、すみれは生まれて初めて恋に落ちました。相手は17歳年上のミュウと言う名前の既婚者の女性でした。
小説家になる以外に、自分の進むべき道はないと考えていたすみれでしたが、貿易会社を営むミュウの下で働くこととなります。
8月はじめ、「ぼく」はローマの消印のあるすみれからの手紙を受け取り、ミュウとすみれが仕事でヨーロッパにいることを知る。
それからしばらくしてミュウから国際電話が入り、すみれが消えたので、一刻も早くここに来られないかと言われます。
「ここ」とは、ロードス島の近くにあるギリシャの小さな島でした。
不思議なラブストーリーを読みたい方におすすめです。
『スプートニクの恋人』の名言
ねぇ、自分が今やっていることが正しいかどうか迷うことってある?
迷わないことの方がむしろ少ない。
本当に?本当に。
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第10位 1973年のピンボール
「鼠三部作」の第2作品目で、芥川賞候補にもなった村上春樹さんの作品です。
タイトルは大江健三郎の『万延元年のフットボール』のパロディであるいう説がありましたが、
村上さんがその当否について言及することは、長らくありませんでした。
しかしその後、「ちょっと拝借しました。」と言及した経緯があります。
第1作目『風の歌を聴け』から3年後の主人公の僕と、親友「鼠」の物語で、彼らの青春の終焉が描かれています。
東京で友達と小さな翻訳事務所を経営している僕。そんな僕の生活に双子の少女が入ってきたり、
僕自身がのめり込んだピンボール「スペースシップ」を探し始めたりと、様々な出来事が描かれていきます。
一方で、大学を辞めた「鼠」は、故郷で現実感のない時間を過ごしていました。
そして、1973年9月に「鼠」はある女性と出会い、ぬくもりに沈んでいき、ある決断をします。
この作品は、「僕」の物語の章と「鼠」の物語の章に分かれ、二つの物語系列がパラレル(平行)に進行してゆきます。
切なく退廃的な雰囲気がありながらも、爽やかさが感じられるおすすめの作品です。
『1973年のピンボール』の名言。
物事には必ず入口と出口がなくてはならない。そういうことだ。
多かれ少なかれ、誰もが自分のシステムに従って生き始めていた。それが僕のと違いすぎると腹が立つし、似すぎていると悲しくなる。それだけのことだ。
「遠くから見れば、大抵のものは綺麗に見える」
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第11位 騎士団長殺し
村上春樹さんの14作目の小説で、新潮社から2017年2月に刊行されました。
全2巻で第1部「顕れるイデア編」と、第2部「遷ろうメタファー編」に分かれていて、
初版部数は2巻合わせて130万部を超えました。
妻に離婚を切り出された36歳の孤独な肖像画家の「私」は、家を出て放浪の末、
小田原の海を望む暗い森の、友人の父親である日本画家のアトリエを借りることになります。
そのアトリエの屋根裏で「騎士団長殺し」という未発表大作の日本画を発見します。
アトリエ裏の雑木林に小さな祠と石積みの塚があり、
塚を掘ると地中から石組みの石室が現れ、中には仏具と思われる鈴が納められていました。
日本画と石室・鈴を解放したことでイデアが顕れ、
さまざまな事象が連鎖する不思議な出来事へと巻き込まれていく事になるのです。
村上春樹さんの想像力や、暗喩が散りばめられており、独特なファンタジーの世界を楽しめる作品です。
『騎士団長殺し』の名言。
「どんなものごとにも明るい側面がある。どんなに暗くて厚い雲も、その裏側は銀色に輝いてる」
「試練はいつか必ず訪れます」
「試練は人生の仕切り直しの好機なんです。きつければきついほど、それはあとになって役に立ちます」
騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編(上) (新潮文庫) [ 村上 春樹 ]
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第12位 ダンス・ダンス・ダンス
「鼠三部作」から続く村上春樹さんの、実質的な三部作の続編にして完結編にあたり、発行部数は229万部を突破しています。
1980年代の「僕」の新しい冒険の物語で、光と闇の交錯を鮮やかに描いています。
「僕」は札幌行きの特急列車に乗ります。それは「いるかホテル」に行ってキキと会うためでした。
しかし「いるかホテル」(正式名はドルフィン・ホテル)は、26階建ての巨大なビルディングに変貌していたのです。
その「いるかホテル」の一室で羊男と再会し、札幌の映画館で中学校の同級生の出演する映画を見ます。
舞台は激しく雪の降る札幌から始まり、東京・ハワイへと変わります。
タイトル通り、主人公の僕が奇妙かつ複雑なダンスステップを踏みながら、「僕」が暗く危険な迷路をすり抜けている物語です。
散りばめられた隠喩表現や、ミステリーやファンタジーの要素も楽しめ、
ムラカミワールドを味わいたい方や、「鼠三部作」の続きが気になる方におすすめです。
『ダンス・ダンス・ダンス』の名言。
「耳を澄ませば求めているものの声が聞こえる。目をこらせば求められているものの姿が見える」
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫) [ 村上 春樹 ]
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第13位 一人称単数
タイトル通り、収録作すべてが一人称単数で語られているのが特徴の短編小説集です。
ビートルズのLPを抱えて高校の廊下を歩いていた少女。
同じバイト先だった女性から送られてきた歌集の、今も記憶にあるいくつかの短歌。
鄙びた温泉宿で背中を流してくれた、年老いた猿の告白。
スーツを身に纏いネクタイを結んだ姿を鏡で映したときの違和感——。
そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 驚きと謎を秘めた8篇です。
収録作:「石のまくらに」「クリーム」「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」「『ヤクルト・スワローズ詩集』」「謝肉祭(Carnaval)」「品川猿の告白」「一人称単数」
笑える話や、深読みすると怖い話など、驚きの展開や謎が秘められた話が収録されています。
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第14位 街とその不確かな壁
2023年4月、村上春樹さんが6年ぶりに発表した、1,200ページに及ぶ最新刊小説です。
2020年に執筆を始め、3年近くかけて完成させた超大作で、“魂を揺さぶる純度100パーセントの村上文学”とされている作品です。
十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。彼女の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。
何か大事な、言葉にはできないことを――
高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。
村上春樹さんが長く封印してきた「物語」の扉が開かれました。
「古い夢」が奥まった書庫で紐解かれ、呼び覚まされるように、
封印された「物語」が深く静かに動き出します。文学界の注目度が高い、おすすめの作品です。
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