『不思議の国のアリス』展。
『不思議の国のアリス』展に行って見ました。来場者の95%が女性でした。
女性の皆さんは、幼い頃に読んだり、読み聞かせて貰っているようで、あのシーンの挿絵があるなどど、楽しそうに話されていました。
会場に入いると、ルイス・キャロルが描いた挿絵が展示されていていました。
その挿絵の大きさは、
ハガキサイズの大きさと、名刺サイズの挿絵が、薄い鉛筆で描かれていて、19世紀の雰囲気を醸し出していました。
154年前の「不思議の国」へ。
それは、154年前の時代に、時間を遡る、アリスの「不思議の国」の入り口だったのです。
作者はイギリスの数学者ルイス・キャロル
『不思議の国のアリス』
『不思議の国のアリス』は、イギリスの数学者、チャールズ・ラトヴィジ・ドジソンが、
ルイス・キャロルのペンネームで書いた児童小説で、1865年に初版が刊行されました。
幼い少女のアリスが、白ウサギを追いかけて、不思議の国へ迷い込み、
しゃべる動物や、動くトランプに出会いながら、不思議の国を冒険する物語です。
即興で作って聞かせた物語が始まり。
「アリス」誕生のいきさつ。
この小説が出来た「いきさつ」は、ルイス・キャロルの知人のリデル家の家族と一緒に、
オックスフォード近郊へピクニックに出掛け、ボートでテムズ川の川遊びをしている時に、
リデル家の三姉妹たちから、何か面白いお話をしてとせがまれ、即興で作って聞かせた物語です。
アリスのモデルは誰?
知人のリデル家の次女アリスが、アリスのモデル。
リデル家の次女アリス(当時10歳)が、その川遊びの日の、話を特に気に入り、
この面白い物語を、自分のために、本にして欲しいとせがまれました。
その願いに応えるために、手書きの本にして、彼女にプレゼントしたことに由来します。
それを、知人たちが、本の出来栄えに高評価をして、後押しをしてくれた事で、
1865年に『不思議の国のアリス』が刊行に至るのでした。
更に、続編の『鏡の国のアリス』も、1871年に刊行され、多くに人たちの、知るところとなったのです。
挿絵の作者は、ジョン・テニエル。
手書きの本を、アリスにプレゼントした時は、ルイス・キャロル自身が描いた挿絵でしたが、
本の刊行に併せて、ジョン・テニエルに、挿絵を依頼したのです。
ジョン・テニエルに挿絵は、『不思議の国のアリス』の作風のイメージにピッタリ合っています。
この『不思議の国のアリス』は、聖書や、シェークスピア作品に次いで、多くの国の言語に翻訳されているようです。
白ウサギが人の言葉を喋りながら現れた。
白ウサギに出会ったアリス。
この本の始まりは、ある日、アリスが川辺の土手で、読書中の姉の本を見て、
「挿絵も会話もない本なんて、何の役に立つのかしら?」と思うのでした。
すると、そこに服を着た白ウサギが、人の言葉を喋りながら通りかかり、
驚いたアリスは、白ウサギを追いかけて、ウサギの穴に落ちてゆくのでした。
『不思議の国のアリス』の、キャラクターたち。
こうして始まる物語には、印象深いキャラクターたちが登場します。
白ウサギ、チェシャ猫、帽子屋、三月ウサギ、代用ウミガメ、ドードー鳥などです。
このドードー鳥は、幼少期に吃音で悩んでいた、ルイス・キャロル(ドジソン)本人が、自分を自嘲的に表わしたものだと言われています。
ルイス・キャロルは数学者。
ルイス・キャロルの生い立ち。
チャールズ・ドジソン(ルイス・キャロル)は、
1832年にイングランド北西部のチェシャ―州ウォーリントで、教区牧師の長男として生まれました。
1851年にオックスフォード大学のクライスト・チャーチ・カレッジに入学し、写真撮影を趣味にしていたようで、
イギリスの数学者、論理学者、作家、詩人などの顔を持つ人物でした。
『不思議の国のアリス』の展覧会会場には、ルイス・キャロルの挿絵に続いて、ジョン・テニエルの挿絵が、続いていました。
やはり、ジョン・テニエルの挿絵は、『不思議の国のアリス』の作風のイメージにピッタリ合っていると思いました。
その後の時代の画家たちが、描いたアリス。
それに続いて、その後の時代の画家たちが描いた、『不思議の国のアリス』の世界が展示されていました。
それを見て、多くの人たちに『不思議の国のアリス』の世界観が愛されて来たことを感じました。
『不思議の国のアリス』の116年前の映画。
1903年撮影の白黒無声映画。
会場の中盤に、この小説を映画化した映像が流されていました。それは、1903年に撮影された、白黒の無声実写版の映画でした。
映画公開当時は12分間の映画だったようですが、それから116年経った現在、8分間の映像が残されていました。
画質は荒く、映画フィルムが相当劣化していて、常に雨が降っているような状態でした。
しかし、そこには、幼い少女のアリスが、白ウサギを追いかけて、不思議の国へ迷い込んでゆく、映像が映し出されていました。
そして、多くのシーンが続いた最後に、
トランプの子供たちが登場し、最後に目を覚ましたアリスが、現実世界に戻って行く映像が残されていました。
映画のバックグラウンドミュージック。
ヨハンシュトラウスの「美しく青きドナウ」。
無声映画でしたが、映画には、ヨハンシュトラウスの「美しく青きドナウ」が、バックグラウンドミュージックとして流れていて、
穏やかに流れる曲に、古き良き時代を感じました。
この曲は、1867年に合唱用のウィンナ・ワルツとして作曲され、
「ウィーンの森の物語」「皇帝円舞曲」と並んで、ヨハンシュトラウス2世の、三大ワルツと言われています。
しかし、この「美しく青きドナウ」が、断然人気があるようです。
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』が、刊行されたのが1865年、
ヨハンシュトラウスが「美しく青きドナウ」を作曲が1867年です。
国は違えども、二人は同じ時代を生きた、芸術性に秀でた人物だったのです。