京セラとKDDIを創業し、2010年には経営破綻した日本航空(JAL)の経営再建に務め、大きな功績を残したのが稲盛和夫さんです。
独特の経営哲学で多くの人を魅了し、彼の経営哲学は国境や体制の枠を超え、多くの人の心に響きました。
そんな稲盛和夫さんの仕事のフィロソフィを見てみましょう。
京セラの「フィロソフィ」
稲盛和夫さんは1932年に鹿児島市で生まれ、鹿児島大学工学部を卒業後、
1959年に27歳で、京都セラミック(現:京セラ)を創業し、一代で大企業に育て上げました。
そして稲盛さんが提唱する、「人間として何が正しいか」などの経営哲学「フィロソフィ」は、国内外から支持されました。
それを物語るものとして、
通信事業の自由化で、1984年に第二電電企画(後のDDI)設立したのは、
当時の電電公社による「独占は良くない」と言う思いからでした。
その後、DDIは競合他社と合併しKDDIとなりました。
2010年、経営破綻したJALの再建のため、会長職を引き受けたのも、
「世のため人のために役立つことが人間として最高の行為」と言う哲学があったからでした。
その再建は、短期間でV字回復を成し遂げ、奇跡のJAL再建を果たしたのです。
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アメーバ経営と「利他の心」
京セラを創業初期に、稲盛さんは社員が増えるに従って「一体感を醸成するには、全社に目が行き届かない」と悩み、
そこで思いついたのが、部門ごとに採算性を明確化して、それぞれが経営者のように自立する「アメーバ経営」でした。
それと同時に、他人を思いやる「利他の心」を提唱するようになったのです。
経営者である前に、人として正しいことは何か。
世のため、人のために役立つことが、人間とした最高の行為であると、常に思っていた背景には、
逆境にも負けないと言う強い思いがあったからでした。
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稲盛さんが提唱したフィロソフィとは。
フィロソフィ(philosophy ) とは、日本語に訳すと『哲学』の意味です。
稲盛和夫さんは京セラを経営していく中で、様々な困難に遭遇し苦しみながらも、これらを乗りこえて来ました。
その時々に、仕事について、また人生について自問自答する中から生まれてきたのが、京セラフィロソフィだったのです。
フィロソフィは、実践を通して得た人生哲学であり、
その基本は「人間としてこういう生きざまが正しいと思う」と言うことです。
このような生き方で人生を送って行けば、一人一人の人生も幸福になり、会社全体も繁栄すると言う考え方だったのです。
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「フィロソフィ」の構成要素
1つめは、「会社の規範となるべき規則、約束事」。
2つ目は、「企業が目指すべき目的、目標を達成するために必要な考え方」。
3つめは、「企業にすばらしい社格を与える」。
この3つの要素は、企業がさらに発展する為にたいへん重要なものですが、
フィロソフィには、それらのベースとなる、大切な4つめの要素があります。
それは、「人間としての正しい生き方、あるべき姿」を示すという要素なのです。
不況を乗り切る5つの方策 いま、何をすべきか [ 稲盛和夫 ]
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稲盛和夫さんの名言。
経営とは、人として正しい生き方を貫くことだ。
今の規模でいいと思った瞬間に成長はなくなる。
不運なら、運不運を忘れるほど仕事に熱中してみよ。
集団、それはリーダーを映す鏡なのです。
どんな仕事でも喜んで引き受けてください。やりたくない仕事も、意に沿わない仕事も、あなたを磨き強くする力を秘めているからです。
人生とはその「今日一日」の積み重ね、「いま」の連続にほかなりません。
神が手を差し伸べたくなるぐらいにまでがんばれ。
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世の中に失敗というものはない。チャレンジしているうちは失敗はない。あきらめた時が失敗である。
現在の能力でできる、できないを判断してしまっては、新しいことや困難なことはいつまでたってもやりとげられません。
今日の成果は過去の努力の結果であり、未来はこれからの努力で決まる。
平凡なことを完璧にやり続けることで胆力がつく。
常に明るさを失わず努力する人には、神はちゃんと未来を準備してくれます。
感謝の心が幸福の呼び水なら、素直な心は進歩の親であるかもしれません。
自分の運命は自分で管理しなさい。でなければ、あなたはだれかに自分の運命を決められてしまう。
その可能性に対して心を閉じていると、人生の本当の恵みを見極めることはできないのです。
才能を自分のものにするのは、神の摂理に反する。与えられた才能は社会の為に使わなければならない。
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