米倉涼子『黒革の手帖』明治座で舘ひろしとの感動ハプニング

明治座での『黒革の手帖』。

これは、2009年5月に「松本清張生誕100周年記念」事業として行われた、

松本清張の『黒革の手帖』を明治座へ観に行った時のことです。

『黒革の手帖』は、松本清張が1978年に執筆した小説を、ドラマ化し米倉涼子さんが主演で、視聴率が良かったのでしょう、その後、劇場版として、明治座で公演していました。

米倉涼子さんと言えば、今では「ドクターX」が凄い評判で、当たり役となっています。

また演劇では、ブロードウェイミュージカル「シカゴ」が有名で、英語力も凄いんです。

松本清張の『黒革の手帖』が舞台に。

松本清張の『黒革の手帖』。

松本清張の『黒革の手帖』は、1980年新潮社から単行本として刊行されました。

黒革の手帖の言われは、松本清張が、「宝石商が顧客とその売った商品名を、メモした手帖から取った」と言われています。

また、この小説の筋は、1973年に滋賀銀行の、9億円横領事件に触発されているようです。

この事件もベテランの女性行員が起こした事件でした。

この事件では、ベテランの女子行員が、その立場を利用し、5年3ヵ月にわたり、総額で9億円を横領したのです。

そして、その金は、ギャンブルや贅沢三昧を繰り返す愛人に貢いで、自身は困窮していたと言います。

この事件をヒントに、松本清張は見事な『黒革の手帖』を、刊行したのでした。

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クラブ「カネル」。

銀座のクラブ「カネル」とは、手帖のこと。

『黒革の手帖』はベテラン銀行員の女が、単調なOL生活からの、脱却を図るために、

架空名義口座リストを、黒革の手帖に書き溜めておき、

銀行の支店長らが、この事実を、隠蔽している事に目を付けて、1億2,000万円を横領します。

支店長らが行っていた、架空預金の事実を明かさない代わりに、横領の事実を不問に付されたのでした。

そして、その資金で、銀座にクラブを持つ話です。

横領した女子行員原口元子は、銀座の老舗クラブ「燭台」で水商売のイロハを学び、その近くにクラブ「カネル」開店させます。

そして、黒革の手帖の情報を使って、恐喝まがいの行為で 、より大きなクラブを持ちたいと野望し、

銀座一の老舗のクラブ「ロダン」のママに、のし上がるストーリーです。

ちなみに、銀座で開店させたクラブ「カネル」とは、フランス語で、手帖の意味のようです。

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芥川賞受賞の松本清張。

松本清張の業績。

松本清張は1953年に『或る『小倉日記』伝』で芥川賞を受賞、1958年に代表作『点と線』を発表、

その後『ゼロの焦点』『砂の器』など多くのベストセラーを出版し、社会派推理小説のジャンルを築き上げました。

松本清張は執筆に当たり、銀座のバー「眉」や「ラ・モール」で、取材したようです。

ちなみに、小説の中に出て来るバー「燭台」は、「銀座の並木通りを土橋近くへ歩く横丁」、

そして「カネル」は、この(燭台の)直ぐ近くの、新築ビルにあると、記載されているようです。

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明治座の舞台で、米倉涼子さんが熱演。

明治座の舞台『黒革の手帖』では。

明治座の舞台では、ベテラン女子行員役の米倉涼子さんが、銀座に出て来て、

銀座の老舗クラブ「燭台」でホステスとして働き出し、ママ役萬田久子さんから水商売の仕方を学んで行きます。

そして、老舗クラブ「燭台」の近くに、クラブ「カネル」をオープンさせ、

地味な銀行員から一変し、華やかなクラブのママとなります。

銀座の老舗クラブ「燭台」のママ役、萬田久子さんとの間で、銀座No1のクラブをめぐり、激しい争いを演じていました。

途中の幕間を挟んでの公演は、終わって欲しくないと、思うほど、素晴らしい舞台でした。

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明治座の舞台と客席に感動がありました。

公演後の舞台あいさつ。

公演が終わり、米倉涼子さんが舞台中央で挨拶した時です。

「今日は素晴らしい方が舞台をご覧いただきました。ご紹介します。舘ひろしさんです」と紹介すると、

1階の客席中央から、長身の舘ひろしさんが立ち上がり、米倉涼子さんと一言、二言、粋な会話を交わして着席しました。

一瞬の出来事でしたが、それが凄くさわやかで、ウイットに溢れ、

それでいて、二人の人柄が良くにじみ出ていて、会場にいた人たちも、心温まる気持ちになった瞬間でした。

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舘ひろしさんの佇まいが凄かった!

その佇まいが、さすが役者という風情。

舘さんの、その佇まいが、さすが役者という風情があったことを、今でも良く覚えています。

舘ひろしさんは、映画『終わった人』で、第42回モントリオール世界映画祭、最優秀男優賞を受賞しました。

これは、1999年の「鉄道員(ポッポヤ)」の高倉健さん以来の、快挙だそうです。

舞台の緞帳が下りた時、この日の明治座は、米倉さんと舘さんで、

最後の最後まで、観客を楽しませる、そんなエンターテイメントが用意されていた事に、すごく感激したのです。

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