チャップリン「街の灯」あらすじ。ラストシーンの意味は?




  • チャップリン「街の灯」あらすじ。ラストシーンの意味は?

『街の灯』〔City Lights〕は、1931年公開のアメリカ映画です。

チャールズ・チャップリンが監督・脚本・製作・主演したコメディ映画で、

サイレント映画ですが、音楽付きのサウンド版として公開されました。

その冒頭には「コメディ・ロマンス・イン・パントマイム」と言うタイトルが、掲げられていました。

ある浮浪者が盲目の花売り娘の目を治すために、孤軍奮闘するストーリーで、

ユーモアとペーソスが織り交ぜられたコメディ映画です。

この作品は、チャップリン映画の中でも、代表作として高く評価されています。

「街の灯」のあらすじ。


ある街に暮らす浮浪者の男(チャールズ・チャップリン)はある日、

街角で出会った盲目の花売り娘(ヴァージニア・チェリル)に、一目ぼれします。

彼女は男がタクシーを使っていると勘違いし、金持ちだと思い込みます。

その夜、浮浪者の男は、妻と離婚して自殺を試みた富豪を助けて友達となります。

男は富豪から貰った金で、娘から花を買って紳士のふりをします。

男は病気の彼女のために働き、献身的な世話をしますが、彼女が家賃の滞納で、立ち退きを迫られていることを知ると、

何とか金を工面したい浮浪者の男は、八百長ボクシングに手を出しますが、敗れてしまいます。

途方に暮れる浮浪者の男は、酔っぱらった富豪と偶然再会すると、

事情を話して1,000ドルをを貰うのですが、運悪く屋敷の中に強盗が潜んでおり、富豪は頭を殴られ気絶してしまいます。

警察を呼んで事情を話しましたが、酔いの醒めた富豪は男のことを覚えていません。

強盗に疑われた男は、慌てて逃げ出し花売り娘の家に駆け込むと、

家賃と目の手術代として金を渡したのですが、その帰り道、男は警察に逮捕されてしまいます。

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ラストシーンの表情の意味とは?


時は流れ、娘は手術により視力を取り戻し、花屋の店を開いて幸せに暮らしていました。

花を買いに来るお金持ちの男性を見ては、あの人ではないかと、考えてしまう日々を送っていました。

同じ頃、刑務所を出所した男は、みすぼらしい姿であてもなく街を歩いていました。

男は偶然花屋の前を通りかかり、ショーウィンドー越しに、娘の姿を見かけて立ちすくんでしまいます。

みすぼらしい恰好の男を見て、最初は笑っていた娘でしたが、

自分をじっと見つめる男に対して、哀れみの気持ちから男を呼び止め、

男に一輪のバラと小銭のコインを差し出します。

コインを握らせるために、男の手を取ったその感触から、彼女は男の正体に気づいたのです。

目の前の浮浪者が自分を救った男だと気づいた時、彼女の口から漏れた言葉は一言、

「You(あなたでしたの)?」でした。

娘の顔は満面の笑みとは言えない表情です。

それに対して、チャップリンの浮浪者は、何とも言えない、照れや申し訳なさを含んだ笑顔を浮かべ、小さく頷くのです。

浮浪者が「目が見えるようになったの?」

娘は「見えるようになった」

そして「THE END」となるのでした。

映画では、その後の二人がどうなるか描かれずに、エンディングとなり、その後の展開を観客に託しています。

人は目に見えるものを優先しがちですが、目に見えないものにこそ、大切なものがある事を教えて呉れているようです。

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【関連】

相棒21第4話「最後の晩餐」チャップリン「街の灯」の考察。

チャップリンの生い立ち。


チャーリー・チャップリンは、1889年にロンドンで生まれました。彼は、青年時代を19世紀末に生きたのです。

彼の両親は共に、ミュージックホールの俳優でしたが、チャップリンが1歳の時に、両親は離婚をしました。

5歳の時に母親が、のどをつぶして舞台に立てなくなり、一家は貧窮した生活に陥りました。

7歳の頃に母親は精神に異常を来たし、施設に収容されてしまったのです。

そして、4歳違いの異母兄と、孤児院や貧民院を転々とし、

家計を支えるために、床屋、印刷工、ガラス職人、新聞の売り子、パントマイム劇などの職に付きました。

チャップリンは、19歳で名門劇団に入り、一座の若手看板俳優となります。

アメリカ巡業の際に、映画プロデューサーの目に止まり、

チャップリンは、25歳で映画デビューすると、たちまち人気者になって行きました。

第二次世界大戦後アメリカで、チャップリンの作風が、共産主義に理解を示しているとして非難され、

1952年63歳の時に、アメリカから国外追放命令をうけ、スイスに移住しました。

そして、1977年12月スイスで永眠しました。88歳でした。

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チャップリンが映画に込めた思い。


チャップリンは、自身の得意とするパントマイムを用いたコメディーで一世を風靡し、初期の作品で大衆の心を掴みました。

その後、徐々にその作風には、社会へのメッセージが込められるようになります。

『キッド』『街の灯』『ライムライト』では、人間の持つ純粋な優しさや勇気、そして生きると言う事の大切さを訴えています。

『モダン・タイムス』『独裁者』『殺人狂時代』では、

機械文明や戦争に対する警告や批判、そして平和の尊さを訴えているのです。

第一次大戦、第二次大戦、世界恐慌、そして急激な技術発展を迎えた、20世紀と言う時代の転換期の中で、

チャップリンは、映画と言うエンターテインメントを通して、現実の世界に、広くメッセージを発信し続けました。

「笑い」を軸にしつつも、どの作品もただのコメディーでは終わらせないところに、

チャップリンが「喜劇王」として、今なおリスペクトされている根拠があるのです。

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