『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。
お金にまつわる、経済学の話です。
宗教とお金や経済に関連性があるなんて、信じられるでしょうか。そんな考察をした人がいます。
ドイツの社会学者で、政治学、経済学、歴史学など、社会科学全般に幅広い造詣があった、マックス・ウェーバー(1864年~1920年)の話です。
マックス・ウェーバーの精神。
彼の著書、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、宗教とお金の関係性について、興味深い考察をしています。
岩波文庫に翻弄された。
私はこの本を、学生の頃、ゼミの課題で読んだのですが、岩波文庫の、薄っぺらな本だったので、
値段も安く、こんな薄さな本なら、簡単に読めるだろうと、高を括っていたのです。
しかし、岩波文庫には、細かい文字が、びっちりと埋め尽くされていて、
更に何か所も注釈が有ったりして、読みだした途端に、直ぐに、戦意を喪失させられたのでした。
それでも、何とか、ゼミの仲間たちと、半年ぐらい掛かって、読んだ記憶があります。
宗教が経済に影響するのか。
宗教と経済の関連性。
どうやら、こんな説があるようなのです。ヨーロッパで、キリスト教のプロテスタント信仰国は、経済発展していて、
カトリックやギリシャ正教会の信仰国は、あまり経済発展をしていないと言うのです。
つまり、資本主義経済に、宗教的な価値観の影響が、あるのではと問うているのです。
2013年の欧州通貨危機。
ヨーロッパ危機、ギリシャ危機。
2013年にヨーロッパ危機が起こりました。ギリシャの政権交代に端を発し、国家財政の粉飾決算から、経済危機の連鎖が起こりました。
ヨーロッパ危機が起こった国々では、貨幣価値が下落し、
失業者が増大し、金融機関の破綻や、経済活動の停滞を、引き起こしたのです。
その頃のニュースでは、銀行へお金を下ろすために、詰めかける多くの預金者や、
失業して家を失くした人々の映像が、映し出されていました。
その影響は、瞬時に日本にも波及し、株価が瞬く間に下落し、世界的な株価の、同時下落要因となってしまったのでした。
そして、欧州連合(EU)がギリシャを救済するのかが、連日のニュースになって行きました。
ヨーロッパ危機とPIIGS。
「PIIGS」と言われた5ヵ国。
ヨーロッパ危機の、起こった国は、「豚」のスペルをもじって「PIIGS」と言われました。
Pは、ポルトガル、Iは、アイルランドとイタリア、Gは、ギリシャ、Sは、スペインで、ギリシャはギリシャ正教の国で、その他はカトリックの国だそうです。
神への善行の証し。
話はさかのぼりますが、「宗教改革」の頃、当時カトリックであったローマ教皇は、免罪符を売っていて、
それを人々が買う事によって救われ、天国に行けると言う、善行を説いていたようです。
この善行で集まったお金で、贅沢で豪華な教会を作つたようで、その代表格が、サンピエトロ大聖堂だと言われています。
禁欲のプロテスタント。
一方、プロテスタント、特にカルヴァン派の司教の間では、
「救いの証し」とされる「神の栄光」は、有益な職業労働から生まれると、信じられていました。
禁欲を旨とするプロテスタントでは、楽しみは徹底的に否定され、働いたお金は貯められ、資本の蓄積が行われました。
その資本を再活用して、経済の拡大が行われたようです。
プロテスタントの「予定説」。
その背景には、プロテスタントの「予定説」と言う考え方があって、
そもそも、天国に行けるか行けないかは、生まれた時から、既に決まっていると言うのです。
それなので、いくら、たくさん稼いで、教会に善行をしても、未来は決まっていると言います。
それなら、「救いの証し」とされる、有益な職業労働に救いを求め、禁欲の教えを守りながら、
有益な職業労働をした結果、お金、つまり資本が貯まって行ったのです。
資本の再生産こそ、資本主義そのもの。
そのお金を、更なる「救いの証し」である、有益な職業労働をする事によって、資本を加速、増大させたんじゃないでしょう。
これこそが、資本主義、何じゃないのでしょうか。資本の再生産、まさに、資本主義の精神に繋がっているんでしょう。
その中から、特に資本の蓄積を加速させて行った人たちこそが、後の、資本家と言うことになるのでしょうか。
それにしても、宗教が経済に繋がっているとは驚きです。
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