2021年3月27日放送の「世界一受けたい授業」に、第164回芥川賞を受賞した「推し、燃ゆ」の著者・宇佐見りんさんが登場しました。
芥川賞受賞作の『推し、燃ゆ』は、現在47万部を売上げ、社会現象化しています。
番組では作者 宇佐見りんさんが教える『推しの世界』と題した授業で、「推し、燃ゆ」を入り口に、
宇佐見さんが「自分の力だけで生きることが難しい時に、推しを頼りに生きる生き方も、ありなのではないか?」とアドバイスを送っていました。
そして、タイトルの秘話や、「推し」をテーマに選んだ理由を語ったのです。
「推し、燃ゆ」ストーリー
物語の主人公・あかりは、通っている高校でも家庭でも「普通」のことが出来ず、常に生きづらさを感じていて、
唯⼀の生きがいは、ある男性をアイドルを「推す」ことでした。
ある日、その推しが、ファンを殴ったことで炎上します。さらに芸能界を引退すると、突然発表する事態となります。
生きがいである推しを失い、あかりはどう生きていくことになるのか?とストーリーは続くのです。
「推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何 をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな。」
と、宇佐見りんさんは語っていました。
普通なら「支え」と言うところを、「背骨」とおっしゃった言葉が印象的でした。
|
タイトルの由来は?
タイトル『推し、燃ゆ』は「愛称として呼んでいたもので…」実は「推し、燃ゆ」は、タイトルが決まっていない状態で作品を書き始めて、
編集部の担当者さんと愛称として呼んでいたものだったんです。
それがいつの間にか正式タイトルになりました。他にも色々案出ししたんですけど、分かりやすいし、やっぱりいいよねって。」
そもそも推し、とは推したいメンバー「推しメン」がさらに省略された、一番のお気に入りの人を指す言葉です。
その発祥は、2010年のAKB48のブレイクにより、2010年頃から一般に、広く知られるようになったと言われています。
今年、21歳の現役大学生で、自身も8年ほど前から、推している俳優がいるという宇佐見さんにとっては、
小さい頃から身近にある言葉だったに違いありません。
|
「推し」をテーマに選んだ理由は?
現在は「推しを推す」ことが周知されてきた反面、「妄想上の恋愛」と決めつけられたり、
「趣味の一環なのに、そんなに入れ込むなんて」と、冷ややかな視線があるのも事実でしょう。
でも、推しを推すことは必ずしも恋愛感情とは限らない。いろんな推し方があるし、
推すことを、趣味以上の生きがいと、感じている人たちもいるようです。
そういう人たちが、推しの炎上という事件に直面した時、どうなってしまうのか?そこに書けるものがあると感じたようです。
およそ半年に及んだ「推し、燃ゆ」の執筆期間で、書き出しの⼀節「推しが燃えた。」は、最後まで変わることはなかったそうで、
そこ以外は、エンディングまで書き上げたものを、宇佐見りんさんは、ほぼすべて書き直したと言うことです。
この『推し、燃ゆ』は彼女の2作目です。
1作目は、2019年の『かか』で、これで宇佐見りんさんは、第56回文藝賞と、第33回三島由紀夫賞を受賞しました。
AERA (アエラ) 2021年 3月 22日号 【表紙:宇佐見りん】 / AERA編集部 【雑誌】
|
幼少期からしていた習慣とは。
宇佐見りんさんは、1999年静岡県沼津市で生まれ、「母から小説を書くのは、あなたのライフワークになると思うわ」と言われて、育てられたようです。
その背景にあったのが、書くことの習慣化だったようです。
小学生の頃から、つけていたと言うのが「自分への手紙」でした。その手紙が文章力の能力を育むキッカケになったようです。
中学生からの習慣は「見た夢をメモする」事だったようです。これは、あるようで、なかなか思いつかない事です。
そして、「夢って無意識が勝手に作り上げるもの、自分の発想では浮かばないこととかが生まれてくることがある。
常識を破壊するということも創作の秘訣かなって思って、ずっと書いています」と語りました。
高校生になると、毎日「日記」をつけていて、見かけた人の人生を予想して、書き進む事をしていたようなのです。
1行書くだけ日記やるべきこと、やりたいことが見つかる!【電子書籍】[ 伊藤 羊一 ]
|
鼻が詰まったら書けない。
そして、「これが無いと、小説が書けないってものはありますか?」と言う質問に対して、
宇佐見さんは、「私は自慢できるくらい鼻が良くて、嗅覚に頼って小説を書いているといってもおかしくない」と前置きして、
窓を開けて外の「空気のにおい」を嗅ぐこともあると言い、
「雨だなとか、春が来たなってとかそういうものを、鼻の中に取り入れることによって、イメージが喚起されることがありますね」と打ち明け、
「鼻が詰まったら書けないって思います」と話されたのです。
|
習慣化がライフワークになった。
宇佐見りんさんは子供の頃から、書くと言う行動を身に着け、それを毎日のように、継続して来られました。
そんな、宇佐見りんさんを見ていた母親が、その才能に気づき、
「小説を書くのは、あなたのライフワークになると思うわ」と言われて、育てられたと言うことが、今の、成功に繋がっているように思えます。
自分の好きな事、自分の得意なものを、長く続けることが、その人の人生を、大きく変えることを痛感しました。
「世界一受けたい授業芥川賞「推し、燃ゆ」宇佐見りんの習慣」への1件のフィードバック
コメントは停止中です。