定年後の人生に、何を生きがいを求めるのか。
『終わった人』ご覧になりましたか。誰にでも訪れる、定年後の人生を描いた映画です。
主演の舘ひろしさん役の主人公は、東京大学を卒業後、大手銀行で支店長を勤めます。
しかし、役員への出世競争に敗れ、関連会社で、定年の日を迎えるところから、ストーリーが、始まります。
定年で目標を失った夫と仕事に打込む妻。
認めて貰いたい、褒めて貰いたい。
定年の日は、入社した時から、既に、決まっているのです。
その日が来ました。その日は、デスク周りを整理しながら、自分の人生は、これで良かったのか、悔いはなかったのかと、考えながら、過ごすかもしれません。
そして、定時の退社時間になりました。なんだか、照れくさいような、それでいて、肩の荷が下りたような、気分かもしれません。
映画のなかでは、主人公が、職場の同僚たちから花束を贈られ、黒塗りの車で、見送られながら、家路につきます。
今どき、黒塗りの車で、家まで送られる定年退職者は、恵まている、一部の人だけでしょう。
家に帰えると、妻から、長年の仕事の労を、ねぎらう言葉が掛かり、ささやかな定年退職の、お祝いが待っていました。
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定年後の居場所探し。
定年の翌日から、自分探しの日々。
主人公は翌日から、自分探しを始めます。図書館、カルチャースクール、スポーツジムなどへ通いますが、
平日の昼間に、時間の自由がある人は、仕事をしない、定年後の高齢者ばかりです。
自分は、まだまだ働ける。このままじゃ終われないと、思うかもしれません。
今までは、時間が無かったから、やりたいと思っていても、出来ない事が、たくさんあった筈です。
でも、それを求める場所が、図書館、カルチャースクール、スポーツジムなど、限られる場所であることに、思い知らされるかも知れません。
自分は、まだまだやれる、こんな筈ではなかったと言う、葛藤との戦いかもしれません。
稼げない夫に居場所がない。
居場所のない夫と、生きがいを持って働く妻。
その一方で、妻役の、黒木瞳さんは美容師で、自分のお店を持つことに、夢と生きがいを持ち、忙しい中で、毎日、生き生きと働いています。
そして、自分のお店を持つ事が、現実して行き、オープンの日を迎えます。
人生は、「定年後から」が面白い! 人間関係、お金、仕事、健康……「後半戦」を賢く生きるコツ (知的生きかた文庫) [ 保坂 隆 ]
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肩書も定職も無くなった人生。
名刺が無くなって、職業欄に無職と書く人生。
肩書も定職も無くなった夫と、夢を持って働く妻との中で、次第にギャップが広がり、物語は展開されて行きます。
生きがいを求めて、居場所を探す主人公は、自分の存在感を、追い求めていたのかも知れません。
スーツを着ないでよい日常。ネクタイを締めないでよい日常。名刺を持たなく無くなった日常。緊張感が無くなった日常。
今日一日、何もしなくても、変わらない日々。たぶん、明日も今日と同じ日々。
たぶん、来週も今日と同じ日々。そうして、気力が徐々に失せて、ゆくのかもしれません。
定年まで10年ですよ まんがでわかる老後のマネー教本 [ 日経ヴェリタス編集部 ]
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自分を必要として呉れる仕事と居場所。
自分の存在感を、追い求める日々。
そんな中で、スポーツジムで知り合った若き経営者に、財務の手助けをして欲しいと頼まれ、彼の会社に再就職します。
その会社は、スタッフも皆若く、年の功で、手助け出来る事も、あると感じていたのです。
自分が長年やって来た、財務関係の仕事が出来る事で、遣り甲斐を、再び感じていたのです。
しかし、その若き経営者が、突然亡くなり、社員たちに後押しされるままに、社長の座に就きます。
会社運営のために、代表者として保証人となりますが、
会社の危機で資金繰りが切迫し、自分の退職金までつぎ込みますが、会社は倒産してしまいます。
定年しても、自分はまだまだやれるはず、このままで終わる訳にはいかない。と言う思いが、退職金まで、つぎ込む結果になったのではないかと思います。
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人の役に立つ仕事は、生きがいになる。
年を重ねても、人に認めて貰いたい。
誰でも、年を重ねても、人に認めて貰いたい。いつまでも、尊敬される立場で居たい。褒めて貰いたいと言う、思いはあるのではないでしょうか。
現役時代の活躍を知って貰いたい。自分はこんなに、凄い仕事をして来たんだと話したい。と思っているんです。
でも、定年退職してしまえば、そんな自分の思いを、知りたがっている人はいません。
自分はもっと出来る筈なのに、年齢が来たことで、退場させられるのは、納得がいかないでしょうが、それが現実です。
そんな主人公の、傷ついた心を癒してくれたのが、故郷の友人たちでした。
再就職での仕事の失敗。妻とのボタンの掛け違いを、やさしく包んでくれるのでした。
定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門! (日経ビジネス人文庫 Bおー14-2) [ 大江 英樹 ]
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終わった人には、なりたくない。
お金を稼げない人は、終わった人なのか。
生涯現役!素晴らしい言葉ですが、それが出来る人は、抜群の能力がある方か、自分が人事の決定権を、持っている方だけです。
だからこそ、定年になったなら、自分の立場をわきまえる事も、必要かも知れません。
でも絶対に、終わった人には、なりたくありませんよね。
男性は一般的に、職場では、鎧を着て過ごしているようです。
敵は外部だけでなく、内部にこそ、敵がいます。そんな職場で日々、戦い続けて来たのでしょう。
家に帰っても、ただ寝に帰るだけで、家の事は、奥さん任せの方。多いのではないでしょうか。
男の「定年後」を死ぬまで幸せに生きる方法 7つの選択と4つの行動習慣 [ 蟹瀬誠一 ]
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人生で一番大切なものとは。
仕事こそが人生?仕事だけが人生ではない?。
時には、仕事に夢中になり、仕事に明け暮れる、事もあるでしょうが、仕事だけが、人生ではありません。
仕事以外の家族、仲間、趣味を含めて、自分の人生です。
だから、定年後の長い人生を過ごす準備は、もう、始まっているのです。
オンナひとりでもどうにか生きていけるっぽい! 定年一年生の教科書【電子書籍】[ 東 園子 ]
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