クリスマスに読みたい人気の本は『クリスマス・キャロル』      

 

クリスマスプレゼント。

クリスマスが近づくと思い出すのが、子供の頃のプレゼント。親に何度も頼み込み、家の手伝いをすると約束して、やっとクリスマスの日を迎えたものでした。

ある年のクリスマスに、父親がジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』の文庫本を買って来ました。

たぶん子供のために、何か良い本があればと、探した本だったのでしょう。

ジュール・ベルヌの冒険小説。

読まなかった『十五少年漂流記』

この本は、ジュール・ベルヌが、1888年に発表した、少年向けの冒険小説です。

ある事故で、15人の少年たちが乗った「スラウギ号」がニュージーランドから、

嵐の海に漂流し、見知らぬ土地へ流れつく物語でした。

しかし、当時の私には、その面白さが判らず、途中で投げ出してしまったのです。

そんな事があって、クリスマスのプレゼントと言うと、そんな、後味の悪い思い出が残っています。

ディケンズの『クリスマス・キャロル』。

『クリスマス・キャロル』

そんなクリスマスプレゼントですが、この時期に思い越す小説があります。

それは、チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』ではないでしょうか。

『クリスマス・キャロル』は、

イギリスの文豪、チャールズ・ディケンズにより、1843年に刊行され、日本では1927年に岩波書店から刊行されました。

クリスマス・キャロル [ チャールズ・ディケンズ ]

 

チャールズ・ディケンズの生い立ち。

チャールズ・ディケンズは、1821年イギリス、ポーツマスの郊外で、下級官士の家に生まれました。

家が貧しかったため、10歳の頃から働きに出され、靴墨工場などで働きますが、独学で勉強を続けて、新聞記者となりました。

24歳の時に、短編集『ボズのスケッチ集』で、作家デビューをして、多くの名作を生み出しました。

『クリスマス・キャロル』は、彼が31歳の時に執筆したものです。

クリスマス・キャロル (角川文庫) [ ディケンズ ]

 

産業革命で、イギリスは世界の工場になる

イギリス産業革命。

チャールズ・ディケンズが生きた時代は、イギリスで産業革命が起きた時期に当たります。

1760年代から、1830年代に掛けて、イギリスで起こった最初の産業革命でした。

それは、一連の産業の変革と、それに付随した社会構造の変革を指します。

初期には軽工業を中心に「第一次産業革命」が起こり、

電気・石油による重化学工業へ移行すると「第二次産業革命」と呼ばれるようになるのです。

クリスマス・キャロル (集英社文庫) [ チャールズ・ディケンズ ]

 

ヴィクトリア朝時代のイギリス。

産業革命の絶頂期。

19世紀後半はヴィクトリア朝時代でもあり、イギリス産業革命の絶頂期になります。

機械による生産、大量の商品、植民地化政策が行われ、ロンドンの人口は、19世紀初期に85万人だったのが、

19世紀末になると700万人に、膨れ上がってしまったのでした。

綿織物の製造工程は、それまで個々に農家が行っていて、品質にムラがあったものを、

工場に集約し、分業生産をする事で均一化された、高品質の製品が出来るようになりました。

これが、工場でものを作る社会となり、産業革命になって行くのでした。

産業革命は、鉄製品を中心とする工業製品を作り出し、蒸気機関車、鉄道の発展に繋がって行き、

イギリスは「世界の工場」と呼ばれるようになって行ったのでした。

産業革命により商品が大量に流通するようになり、

紅茶、砂糖、たばこ、綿織物などの商品が、大量に届くようになったのでした。

17世紀のイギリスでは、人口の4分の3が農村部で暮らしていましたが、

産業革命の19世紀になると、人口の4分の3が、都市部で暮らすようになっていたのです。

クリスマス・キャロル (講談社英語文庫) [ チャールズ・ディケンズ ]

 

クリスマスに読みたい本。

 この本は、そんな時代背景のなかで、チャールズ・ディケンズによって書かれた小説で、

クリスマス小説のなかでも、一番有名な小説かも知れません。

『クリスマス・キャロル』

物語は、ロンドンで会計事務所を営む老人の、エベネーザ・スクルージに起きた出来事で構成されています。

彼は、金持ちですが、とてもケチで貪欲で、冷酷無慈悲、守銭奴で嫌われ者で、強欲で金儲け一筋の商売をしています。

このスクルージに起きた、クリスマス・イブからクリスマスに掛けて起きた体験を描いています。

クリスマス・イブの夜、スクルージは、ベッドルームで7年前に亡くなった、かつての共同経営者、マーレイの亡霊に出会います。

マーレイは鎖でがんじがらめに繋がれていて、そのマーレイの亡霊は、強欲になるな、

そんな事をしていては、私と同様に、スクルージも、同じ運命をたどると忠告したのです。

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3人の「過去」「現在」「未来」の幽霊たち。

そして、明日から3夜に亘って、3人の幽霊がやって来ることを告げるのでした。

第一の幽霊は「過去」でした。その幽霊は、スクルージと一緒に過去を旅します。

そこでスクルージは、少年時代の自分を振り返り、お金よりも、大切なものを見ていた過去を思い出します。

第二の幽霊は「現在」でした。そこでは、知人たちが貧しい中でも、楽しそうにクリスマスを祝う光景に出会うのでした。

第三の幽霊は「未来」でした。幽霊とスクルージが、そこで見たものは、誰か分からない死んだ人の噂ばなしでした。

その人物は、死んでも評判が悪く、誰も気に留められない存在だったのです。

そしてその人の墓地の墓碑には、スクルージの名前が記されているのを見て、愕然とするのでした。

スクルージが目覚めると、そこは、クリスマスの朝だったのでした。

そこで、スクルージは、自分の愚かさに気が付き、心を入れ替えるのでした。

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綺麗なお金の使い方。

金持ちは「お金に厳しい」。

金持ちは「お金に厳しい」と言う話がありますよね。

『クリスマス・キャロル』に登場する、スクルージも、金持ちですが、

とてもケチで貪欲で、冷酷無慈悲、守銭奴で嫌われ者で、強欲で金儲け一筋の商売をしています。

世間では 何故、金持ちは「お金に厳しい」と、思われているのでしょうか。単純に金持ちに対する、やっかみでしょうか。

人はお金を貯めると、保守的になるのかも知れません。

例えば100万円貯められた、1,000万円貯金が出来たとなると、そのお金を崩したくないと、誰もが思う筈です。

たぶん、そうした考えをしないと、お金は貯まって行かない場合もあるからでしょう。

でもそれが、強くなりすぎると、自分のお金は、絶対に崩したくないと、なってしまうのでしょうか。

私が接して来た、お金持ちの方たちは、普段はとても質素な暮らしをしていましたが、大事なお客さまを迎える時や、

ご自分の知識や、経験を広げるためには、お金を上手に使っていました。

つまり、メリハリの利いた、お金の使い方をしているように見えたのです。

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その人に合った、お金の使い方。

人には、その人の、所得や地位、年齢に即した、お金の使い方が、あるんじゃないでしょうか。

それを、わきまえた行動を取る事で「あの人はお金に綺麗だ」「あの人のようになりたい」と思われる存在になるのでしょう。

『クリスマス・キャロル』の中のスクルージは、過去、現在、未来を旅する事で、そのことに気が付いて、改心したのでした。

だから、『クリスマス・キャロル』は、クリスマスに読みたいと、思える小説になり、

今でも多くの人に、読み継がれているんだと思います。

最後に、「クリスマス・キャロル」と言う言葉は、

クリスマス・イブに特に好んで歌われる、イエス・キリストの生誕を喜ぶ、歌の意味があるようです。

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