エルミタージュ美術館までの道程。
これは、数年前の旅の話なんです。
何年も前から、サントペテルブルグにある、エルミタージュ美術館へ行って見たかった夢が叶い、やっと出掛けた時の話です。
サントペテルブルグという街は、昔はレニングラードと言って、とても長く繁栄して来た街です。
その街並みが凄いんです。日本でも、古い佇まいの街並みが残っていますが、
サンクトペテルブルグの街並み。
サントペテルブルグの街並みは、運河を挟んで、18世紀の街並み、19世紀の街並み、20世紀の街並みが、区画されていて、
そのままの趣で建物が残っていて、今もその建物が使われているんです。
その世紀毎に、街並みが違っているのが、とても驚きでした。
エルミタージュ美術館。
世界三大美術館。
エルミタージュ美術館と言えば、世界三大美術館と言われ、1990年に、世界遺産にも登録されました。
世界三大美術館と言えば、メトロポリタン美術館、ルーブル美術館、エルミタージュ美術館でしょうか。
エルミタージュと言う言葉は、フランス語で「隠遁者/世捨て人の部屋」と言う、意味のようです。
エルミタージュ美術館といえば、ロマノフ王朝時代の冬の宮殿が有名です。
更に、美術品の収蔵品の多さでも、群を抜いています。
美術品の収蔵は、300万点もあるようで、それらを展示する展示室が1,500室もあると言われ、全ての館内を回ると、20㎞にもなるようなのです。
観光気分が一気に醒めた。
教会の見学の際に、ハプニングが待っていた。
見学の当日は、エルミタージュ美術館に行く前に、ある教会の見学が入っていたんです。
観光バスが、教会の前に停車すると、ガイドさんが、「教会にはたくさんの信者さんが来ていて、神聖なお祈りを捧げていますので、大きな声でご案内が出来ません。
皆さまには、無線で私の声が伝わる、イヤホンを付けて頂きます。」の、アナウンスと伴に、無線のイヤホンが配られました。
それを付けて、バスを下りると、教会前の広場には、大勢の観光客で溢れていました。
無線イヤホンから、ガイドさんの悲鳴。
ガイドさんの悲鳴に、緊張感が走った。
その瞬間です。イヤホンを通して、甲高いガイドさんの声が入って来ました。
「この広場にはスリがいるようです。皆さま注意してください。貴重品はしっかり、身に着けるようにして下さい。」
私たちに緊張感が走りました。私もバックとカメラを強く握り締めたのです。
その時また、ガイドさんの声が入りました。「スリが傍にいるようです、注意して下さい。あっ!そこです。そこです。その門のあたりです。」と叫んだのです。
私たちは目を皿のようにして、門の近くを凝視しましたが、分かりませんでした。
私たちは、集団で纏まって、ガイドさんの指示を待っていました。
たぶん、現地のガイドさんには、観光客とスリの違いが、分かったのかも知れません。
それに、この場所が、スリが横行する場所だった事を、事前に知っていたのかもしれません。
私たちの観光気分は、一気に引っ込んでしまいました。
薄暗い教会内で怯えていた。
薄暗い教会内部でも、緊張していた。
私たちはガイドさんに従い、教会の内に入って行きましたが、館内は、ろうそくの明かりだけで薄暗く、足元も良く見えない状況で、とても心細い状況でした。
そこにまた、ガイドさんの声です。「館内にスリがいるようです。皆さま、まとまって行動して下さい。」こんな注意が2~3度イヤホンを通して入って来ました。
そして、薄暗い教会の中で、すれ違う人の、ちょっとした仕草にも、ビクッと反応してしまったのでした。
私たちは、薄暗い教会の中で、とても怯えながら、早く明るい外へ出たいと思っていたのです。
やっと、教会の出口にたどり着き、急いでバスに乗り込みました。
バスの中に戻って、私たちは、やっと緊張感から、解放されたのでした。
館内での説明を聞くために、渡されたイヤホンでしたが、ガイドさんの、悲鳴のような注意喚起に使われたのでした。
そして、私たちは、見学どころでは無かったのでした。
印象派の展示室は、大人気。
エルミタージュ美術館の見学。
その後、エルミタージュ美術館に着きました。
美術館の前には広大な流れのネヴァ川が静かに流れていて、ロシア王政の、繁栄ぶりを思わせる建物が連なっていたのです。
美術館の周辺には、多くにガードマンが配置されていて、ガイドさんも、一安心しているようでした。
美術館は広大で、足早に鑑賞せざるを得ませんでしたが、一番人気のあった場所は、やはり印象派の展示室でした。
私もお目当ての、印象派の絵画の前で、贅沢な時間を過ごすことが出来ました。
ホテルに帰って聞いたところ、別のツアー客が、あの場所で被害にあったようで、噂になっていたのです。
やはり海外での旅では、日本ではなかなか、考えないことが起こるものです。
治安の良い日本での暮らしが、どんなに有難いものか改めて、考えさせられました。
ロシアの悪口を言うつもりはありませんが、日本人には、こういう経験は、刺激的すぎます。