テレビ朝日系のドラマスペシャル『家栽の人』が放映されます。
このドラマの原作は小学館の『ビックコミックオリジナル』として、1987年~1996年までの、
9年間に渡って掲載されたコミック(原作者は毛利甚八さん。画は魚戸おさむさん)です。
連載終了から20年以上経ちますが、人間の本質を描いた名作として、今でも語り継がれている作品です。
それを証明するように、今までにも、何回かドラマ化がされ、好評を博しているのです。
2021年9月29日放送の続編『家栽の人』はこちらから⇩
テレビ朝日ドラマ『家栽の人』
主人公の桑田義雄(船越英一郎さん)は、人間を愛し、植物を慈しむ、変わり者の家庭裁判所の判事で、
植物が大好きで、愛する草花を少しでも多く、植えたいと思っているような人なのです。
あらゆる草花に精通し、昼休みにも寸暇を惜しんで、園芸に精を出し、
大好きな草花と過ごす時間を何よりも、大切にしている人で、今風に言えば「植物オタク」のような人なんです。
植物を愛し、罪を犯した人間に寄り添う、そんな信念を持った、家庭裁判所の判事なのです。
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地方都市の家庭裁判所が舞台。
このドラマでは、地方都市の家庭裁判所を舞台に、植物好きな桑田判事が、道を誤った少年の、更生を支える姿を描いています。
問題を起こして、家庭裁判所に送られてくる、少年少女たちに、
土いじりの好きな桑田判事は、草木を育てるように、愛情を込めて接し更生を促してゆくのです。
そこには、罪を犯した少年の心の機微に対して、大人たちがどう接するべきなのかを、問うているようです。
「少年審判」ではただ処罰するのではなく、如何にしたら、少年たちが立ち直るのかを真摯に考え、彼らを見守り、励まし、育てようとしているのです。
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家栽の人 ヤマモモ (My First BIG SPECIAL) [ 毛利甚八 ]
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タイトルの「栽」の漢字は、人にも植物にも、愛を持って接する桑田判事を表わしていて、この「栽」を使っているのです。
これは、植物好きの主人公・桑田判事を象徴したものと言われていますが、
彼の信念である、道を誤った少年たちを、愛しみ育てる姿勢をも、表しているのではないでしょうか。
家庭裁判所では、迅速な事件処理が優先されますが、桑田判事は少年たちが抱える、問題の本質に時間を掛けて、彼らと向き合っているのです。
そこには、言葉を発っすることが出来ない草花の、はかなくもたくましい生きざまが、
少年たちを取り巻く、家庭のあるべき姿の、ヒントを教えて呉れているようです。
そんな草花の姿を引き合いに出して、家族の本質を考えさせて呉れるのです。
家栽の人 山川草木 (My First BIG SPECIAL) [ 毛利甚八 ]
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桑田判事(船越英一郎さん)のこだわり。
船越英一郎さん演じる、桑田判事は、家庭裁判所にこだわり、栄転を拒む変わり者なのです。
桑田判事の父、桑田恒太郎は、最高裁判所の長官で、法曹界のトップだった人物なのです。
桑田判事は、22歳で司法試験に合格し、司法修習生時代の成績は抜群で、
実務面でもその優秀さからしても、最高裁からお呼びが掛かるような裁判官なのですが、
一切の出世を拒否し、自ら、地方の家庭裁判所に身を置くような、変わり者の判事なのです。
彼のそんな生き方が、ドラマ『相棒』の杉下右京と似ていると思いませんか。
植物好きの判事が地方の家裁に赴任します
今回のドラマでは、植物好きの新任の判事が、地方の家庭裁判所に赴任して来ます。
その判事は、人間を愛し、植物を慈しむ変わり者判事です。
掟破りな手法、常識はずれな行動で、振り回される家庭裁判所の職員たち。
そんな中で、「資産家殺人事件」が発生します。そして自首して来た19歳の非行少年、その少年は何を憎んでいたのか、
その事件に隠された真実の秘密とは何なのか、その真実の哀しい真実、そして、その兄を慕う少女の祈りがありました。
果たして、桑田判事は、少年の心に種を蒔けるのでしょうか。
植物を愛し人間に寄り添う、信念の家裁判事・桑田義雄が問いかけるものとは、いったい何なのでしょう。
人に寄り添い、人を愛しみ育てようとする桑田判事が、訴えかけるものは、大きいものでしょう。
家栽の人 バラ (My First BIG SPECIAL) [ 毛利甚八 ]
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マンガ『家栽の人』原作者は毛利甚八さん
このコミック『家栽の人』の原作者は毛利甚八さん、画は魚戸おさむさんです。
毛利甚八さんは、ノンフィクション作家、漫画原作者、写真家の顔を持ち、1958年長崎県佐世保市で生まれで、日本大学芸術学部を卒業後、
フリーライターとして「ナンバー」「「BE-PAL」「サライ」でルポやインタビューを手掛け、1980年から『家栽の人』の原作を始めたのです。しかし、2015年に残念ながら他界されています。
そんな毛利甚八さんが、心を込めて訴えたかった名言が、原作には至る所に、散りばめられているのです。
『家栽の人』の名言。
「多かれ少なかれ、みんな虐められた過去を持っている。小さな子は大きな子に。
力のある子は頭のいい子に、女は普通の男に、普通の男は強い男に、強い男は組織に、組織はより強い組織に…原因を辿っていくと尽きない。」
子供には子供の悩みが、それが、大人になっても、悩みは尽きないものです。そんな時、桑田判事に相談して見たくなります。
彼は、植物になぞらえて、どんな回答を呉れるのでしょうか。
「憎ければ、憎めばいいんじゃないですか。愛だけで憎しみを消すことは、できませんから…」
これは、調査官が担当する少年を憎いと、感じてしまったと言う相談を、受けた桑田判事の回答です。調査官と言えども人の子です。聖人では無いんです。
「少年をよく眺めてください。裁判所に悩む人が居なくなれば、裁判所は冷たい箱になってしまいます。」
どんな非行少年でも、そこには暖かな血が通っているのです。何が原因で非行に走ったのか、一緒に苦しんでくれる人がいなかったのでしょうか。
家栽の人 カサブランカ (My First BIG SPECIAL) [ 毛利甚八 ]
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植物が花を咲かせ、実をつけるために。
「植物は簡単に花が咲き、実がなるものではありません。時間をかけて、大切に慈しみ育てることが大切です。」
そして、厳しい環境でも根を、張ることが出来れば、たくましく生きていけるものです。
それはきっと、人間も同じではないか…。そんな信念を抱き、心に傷を抱える人々に、やさしく手を差し伸べる桑田判事の姿に、胸が熱くなる筈です。
『家栽の人』は、互いにいがみ合う家族、道を誤った少年たち、そしてさまざまな苦しみを抱える人々に、大切なことを思い出させてくれるヒューマンドラマなのです。
【関連】
テレビ朝日ドラマ『家栽の人』
今回の船越英一郎さんの桑田判事は、原作マンガの原画の作風に凄く合っていて、
船越英一郎さんの人柄が、よく出ているようなキャスト選考をしたと感じます。
ドラマのあらすじ、主人公の桑田義雄(船越英一郎さん)は、人間を愛し、植物を慈しむ、変わり者の家庭裁判所の判事で、
植物が大好きで、愛する草花を少しでも多く、植えたいと思っているような人なのです。
あらゆる草花に精通し、昼休みにも寸暇を惜しんで、園芸に精を出し、
大好きな草花と過ごす時間を何よりも、大切にしている人で、今風に言えば「植物オタク」のような人なんです。
家栽の人 アジサイ (My First BIG SPECIAL) [ 毛利甚八 ]
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桑田判事の父は、最高裁の長官。
船越英一郎さん演じる、桑田判事の父親、桑田恒太郎は、最高裁判所の長官だった人で、法曹界のトップに立つ人物なのです。
つまり、桑田判事はその血を引く、サラブレッドのような存在なのです。
桑田判事は、22歳で司法試験に合格し、司法修習生時代の成績は抜群で、
実務面でもその優秀さからしても、最高裁からお呼びが掛かるような裁判官なのですが、
一切の出世を拒否し、自ら、地方の家庭裁判所に身を置くような、変わり者の判事なのです。
植物を愛し、罪を犯した人間に寄り添う、そんな信念を持った、家庭裁判所の判事なのです。
桑田判事の魅力とは。
桑田判事は、互いにいがみ合う家族、夫婦、更には事件を引き起こした少年少女たちなどから、
彼らが忘れていること、失ってしまった思い出から、糸口を探し出し、事件の本質に迫ろうとするのです。
桑田判事の魅力は、事件を丁寧に扱い、事件の背後にある動機や、問題点をあぶり出し、
更生への道筋を立て、立ち直らせようとする、姿勢を貫いている人物です。
そこで彼は、こんな言葉を発しているのです。
「私が少年に対してできることは、小さなことです。だけど小ささを恥じて、それをしまい込む人が多すぎるんです。」
家庭裁判所で審理される事案は、相続、離婚、少年問題の案件が多くあると言います。
一人の判事が受け持つ事案は、1ヵ月で200件にも及ぶそうで、時間との勝負だと言います。
しかし、桑田判事は、「罪を憎んで、人を憎まず」と言う精神からなんでしょうか、人に寄り添い、人を愛しみ育てようとするその姿勢と信念を持っているのです。
家栽の人 ヒマワリ (My First BIG SPECIAL) [ 毛利甚八 ]
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散った花びらの言葉。家栽の人の名言。
「地面に落ちた花びらは、ただ腐っているわけじゃありませんよ。
あの花びらを、土の中の何億という数の微生物が、待っているんです。
花びらを食べて彼らは生きている・・・」
「そして微生物が排泄したり、死んで土に混じったりすることで、土が豊かになる。
その土から栄養をとるので、桜の木は次の年に花を咲かせるんです。
人間には見えないから気づかないだけです。」
生あるものには、その役割があるです。どんな人にも、どんな草木にも、その役割があるのです。
そのために一生懸命努力するから、その行動は花のように美しいんです。
閉ざされた心を開く言葉。
「…人に何かしてあげるって、こんな風に胸の中がポオって温かくなって、今まであったいやな思い出が、バターみたいにいっぺんに溶けてしまうの。
私は今まで冷蔵庫の中で、冷たく固まっているバターみたいだった。それが孤独って言うものだと判った・・。」
凍ってしまった、人の心を溶かすには、何が必要なんでしょうか。その根底に孤独が潜んでいたのです。
家栽の人 ポトス (My First BIG SPECIAL) [ 毛利甚八 ]
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孤独だから突っ張っていた言葉。
「俺はいつかひとりぼっちになる時が来るのが怖くて、いつも相手が俺を怖がるように突っ張っていたんだ。周りに誰が居ても・・何を言われても・・。」
人は一人では生きていけないし、決して一人じゃない。そんな、少年のつぶやきが聞こえるようです。
家栽の人(2) (コミック文庫(青年)) [ 毛利 甚八 ]
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裁判官の仕事の言葉。
「どんなに長い処分を与えても、少年は社会に戻ってくるんです。誰かの隣に住むんですよ。
その時に、彼が笑って暮らせる可能性を探すのが、私たち裁判官の仕事じゃないでしょうか?」
「街が少年達を育てないで、誰が育てるんですか?」
裁判官の仕事は、人を裁くことではなくて、罪を犯した人を、どう更生させるのかを、気付かせる仕事なんじゃないでしょうか。
そして、桑田判事は悟のでした。自分が少年少女たちを試しているのではなく、自分自身が、彼らに試されれいるんだと。
家栽の人【TBSオンデマンド】 家栽の人スペシャル【動画配信】
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