モンテーニュのお金のいやらしさ。
人は顕示欲の強い生き物です。すぐ人と比べて見たくなり、他人より、自分のほうが優れていると、比較してしまいます。
それが良い面に現れると、良い成績を取ろうとして頑張ったり、少しでも、他の人より成績を上げたいと努力します。
人は何で顕示欲が強くなってしまうのか。
しかし、顕示欲が強すぎると、そのことで人を見下したり、お高く留まったりして、鼻持ちならなくなってしまいます。
誰もが、少しでも、収入を上げたいと努力していますが、それによって得た収入が、どれくらいなのかは誰も言いません。
同じ会社に勤めていれば、そんなに人と給料が違うことはありません。
今では多くの会社が、年功序列を廃止して、その職種に於ける、同一労働同一賃金制度を、採用しているのではないでしょうか。
例えば、35歳の人でも、50歳の人でも、同じ課長と言う職種に付いていれば、基本的に給与は同一です。
多少家族手当がある会社なら考慮がある程度です。
その人が、どれくらい仕事が出来るか、どれくらい会社に貢献出来るかで、給料が決まっている筈ですし、その金額は公表されている筈です。
ですから、本当は給料の額が分かっているのに、何故か給料の話はしません。
同じマンションにいる人は同じような収入
例えば、平均価格4,000万円のマンションを買った人たちは、大体同じくらいの収入なんじゃないでしょうか。
それ以上、収入のある人は、それよりも高額で、より環境が良く、設備の充実したマンションを買う筈です。
だって、それだけの収入があるのですから。
同じような収入環境にいても、収入の話はしません。お金のことは話したがりません。
しかし、自分はこんなにお金があると、見せびらかすことには、余念がないのです。
ミシェル・ド・モンテーニュの名言。
16世紀のフランスの哲学者、ミシェル・ド・モンテーニュの言葉を紹介します。
「誰もがその収入を公表はしない。ただ収入によって得たものを、見せびらかすだけである。」
芸能人たちが見せびらかしている。
よく、芸能人たちが、収入の額を聞かれる場合がありますが、誰も話しません。
しかし、彼らの腕には高級腕時計あったり、ジュエリーを身に着けて出演しています。
また、自宅公開などと言って、自宅を公開していますが、
これを観たら、この人たちは、いったいどれくらい稼いでいるのかと思うことでしょう。
車もよく出て来ます。高級外車を何台も所有している。海外へ、年何回もバカンスに行っているなど、日常茶飯事になっていませんか。
そんな光景を見るにつけ、見せびらかしている人たちは、さぞかし鼻が高いんだろうなと、思ってしまいます。
人は見せびらかす事で、顕示欲を維持しようとしているのかもしれません。
お隣の奥さんが見せびらかす。
これは、友達に聞いた話なんですが、お隣さんが車を新車に買え変えたようなんです。
その車は友達が乗っている車より、ワンランク上の車種だったそうです。
すると、そこの奥さんが、会うたびに、その車の性能の良さを自慢して来ると、嘆いていました。
これなども、自分の家は、お宅よりお金があると、アピールしているのでしょう。人は何と顕示欲の強いものなのでしょう。
だから、モンテーニュは、人間の醜い本質を付いた言葉を語ったのでしょう。
そして、人間の顕示欲の強さは、いつの時代でも不変的なことなのです。
モンテーニュの『エセー』。
哲学者、モラリスト、懐疑論者。
ミシェル・ド・モンテーニュは、16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者、モラリスト、懐疑論者、人間主義者です。
現実の人間を洞察し、人間の生き方を探求した主著『エセー』(随想録)は、各国に影響を与えました。
彼は、ボルドーに近いモンテーニュ城で、1533年に生まれました。
『エセー』(随想録)は、フランスのモラリスト文学の、基礎を築いたと評されています。
『エセー』(随想録)Essaisの意味は〈試み〉〈企て〉を表わすフランス語です。
その内容は、自分自身の経験や、古典を引用を元にした考察を語っていて、人間と言うものを、率直に記すことを目的とした書籍なのです。
この『エセー』は、特定の話題に関するものを、主観的な短い文章としており、これから派生して、「エッセイ」と呼ぶようになったと言われています。
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