メジャーリーグ機構は2021年11月19日(日本時間)、今季のアメリカン・リーグMVP(最優秀選手)にエンゼルス・大谷翔平選手(27)が満票で選出されたと発表しました。
日本人選手のMVP受賞は、2001年のイチローさん(当時マリナーズ)以来2人目の快挙で、
満票での受賞はア・リーグでは14年のマイク・トラウト選手(エンゼルス)以来となりました。
大谷翔平メジャーリーグMVP
2021年のメジャーリーグは、大谷翔平一色の様相を呈していました。
前半戦でホームラン争いのトップに立ち、オールスターゲームに選出されると、
ホームランダービーにも出場し、オールスターゲームで、リアル二刀流を全米に見せつけたのです。
2021年の大谷翔平選手の主な成績は、ホームラン46本、打点100、打率.257、盗塁26、
そして投手として9勝2敗、奪三振156と言う優秀な成績でした。
なんと言っても凄いのは、分業制で行われている、プロの野球の世界で、
ホームランバッターでありながら、ピッチャーとしても一流だと言うことです。
高校野球までは、ピッチャーでありながら4番バッター、
そんな若者たちが目指している世界を、大谷翔平選手は努力して実践しているのです。
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【関連】
高校時代の「目標達成シート」の存在。
この活躍の陰に大谷翔平の「目的」と「目標」の概念があったことは間違いありませんし、
それを支えていたのが、「目標達成シート」の存在でした。
その原点は、大谷翔平選手が、高校一年生の時に作成した、目的達成表にさかのぼります。
岩手県・花巻東高校で、佐々木洋監督から与えられた、「目標達成シート」に記入した挑戦に、その原点があったのです。
高校時代大谷翔平選手は、
「世界最高のプレーヤーになる」 「この道の開拓者になる」と言う言葉を書いていたと、恩師の佐々木洋監督は語っています。
ピッチャーとバッターの「二刀流」選手として活躍する、大谷選手が作成した目標達成シートとは、
いったいどのようなフレームワークなのでしょうか。
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夢は8球団からのドラフト1位指名。
大谷翔平選手が、高校一年生の時に作成したのが、「目標達成シート」です。
高校時代の佐々木洋監督からの教えにより、作成したこのシートは、
強い目標(夢)を中心に置き、周囲9×9の合計81マスに、細分化した目標を書き込んだものです。
そして、大谷選手が中心に書いた夢は「8球団からのドラフト1位指名」でした。
結果的には、大谷選手のドラフト1位指名は1球団でした。
その訳は2012年のプロ野球ドラフト会議の時に、大谷翔平選手は複雑な心境で望んでいたからです。
と言うのも、大谷翔平選手は、日本プロ野球界を経由せずに、メジャーへ挑戦することを、明らかにしていたのです。
そのため、各チームの首脳陣は、大事な1巡目の枠を大谷翔平選手には当てず、他の選手を獲得しようとしました。
そんな中で、波乱を巻き起こしたのが、後に加入することになる、北海道日本ハムファイターズだったのです。
当時の日本ハムファイターズの栗山監督が、大谷翔平選手の二刀流を支持し、
そのことがメジャーリーグへの、布石になって行きます。
こうして、大谷翔平選手は、岩手県・花巻東高校から2013年にドラフト1位で、北海道日本ハムファイターズに入団します。
あのドラフト会議の時に、大谷翔平選手がメジャーへの挑戦を表明していなければ、
彼が目標に掲げていた「8球団からのドラフト1位指名」を実現していたかもしれません。
こうして大谷翔平選手は、プロでもなかなか投げられない、球速160キロを高校時代に成し遂げ、
ルーキーイヤーに投手で3勝、打者でも3本塁打という「二刀流」の活躍を見せたのです。
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それ程までに、目標を近づけさせたのが「目標達成シート」だったのです。
高校1年生の大谷翔平選手が作成した目標達成シートは、
中央の目標(夢)=「8球団からのドラフト1位指名」を達成するために必要な要素を、8つ記入していました。
(1) 体づくり (2) 人間性 (3) メンタル (4) コントロール (5) キレ (6) スピード160キロ (7) 変化球 (8) 運
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成功のための具体的な目標。
更に、これらを達成するための具体的な目標を、それぞれ8つずつ記入しました。
(1)体づくりを達成するための要素:
体のケア、サプリメントを飲む、FSQ90キロ、柔軟性、RSQ130キロ、スタミナ、可動域、食事夜7杯朝3杯
(2)人間性を達成するための要素:
感性、愛される人間、計画性、思いやり、感謝、礼儀、信頼される人間、継続力
(3)メンタルを達成するための要素:
はっきりとした目標・目的を持つ、一喜一憂しない、頭は冷静に心は熱く、ピンチに強い、雰囲気に流されない、波をつくらない、勝利への執念、仲間を思いやる心
(4)コントロールを達成するための要素:
インステップ改善、体幹強化、軸をぶらさない、リリースポイントの安定、不安をなくす、下肢の強化、体を開かない、メンタルコントロールをする
(5)キレを達成するための要素:
角度をつける、上からボールをたたく、リストの強化、力まない、下半身主導、ボールを前でリリース、回転数アップ、可動域
(6)スピード160キロを達成するための要素:
軸でまわる、下肢の強化、体重増加、体幹強化、肩周りの強化、可動域、ライナーキャッチボール、ピッチングを増やす
(7)変化球を達成するための要素:
カウントボールを増やす、フォーク完成、スライダーのキレ、遅く落差のあるカーブ、左打者への決め球、ストレートと同じフォームで投げる、ストライクからボールに投げるコントロール、奥行きをイメージ
(8)運を達成するための要素:
あいさつ、ゴミ拾い、部屋そうじ、道具を大切に使う、審判さんへの態度、プラス思考、応援される人間になる、本を読む
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大谷翔平選手の愛読書・読書法を知りたくないですか?彼はこんな本の読み方をしているのです。
「目標達成シート」の総括。
この「目標達成シート」では、野球の技術力アップの施策は勿論ですが、人間性の形成に関わる施策が目立ちます。
人間性を達成するための要素で、愛される人間、思いやり、感謝、礼儀、
信頼される人間と言った社会に適用し、自分自身を昇華させる事項が列挙されています。
運を達成するための要素では、あいさつ、ゴミ拾い、部屋そうじ、道具を大切に使う、
審判さんへの態度、応援される人間になる、本を読むなど、
社会生活の中で、気持ちよく生活してゆく上で必要な項目が記載されています。
疎かにしがちな箇所ですが、こんな所にまで目を配ってきたからこそ、
人としても高い評価を受け、万人に愛されるようになったのでしょう。
スタジアムでの大谷翔平選手の行動。
スタジアムでの大谷翔平選手の行動は、これら「目標達成シート」に基づいて行われているように見えます。
チャンスの場面でバッターボックスに入るも、申告敬遠されてしまうことが後半戦で多く見られましたが、
そんなシーンでも彼は冷静に対応していました。
ピッチングできわどい球を、審判からボールに取られた時でも、
落ち着いていて対応し、逆に審判を味方につけるような、場面さえあったのです。
ホームランを打った直後や、フォアボールで1塁に出塁する場面でも、
バットを優しく置いて走り出す姿に、感動された方も多いいと思います。
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グランドで大谷翔平がゴミを拾う。
そして、なんと言っても、グランドに落ちているゴミを拾うシーンです。
ゴミを拾ってポケットへ、さり気なく仕舞うシーンに、凄い人だなと思った筈です。
しかし、大谷翔平選手にとってゴミを拾う行為は、運を上げることに繋がって行くのです。
キチンと挨拶をして、身の回りをきれいに保ち、モノを大切に使う人、
こんな事が出来る人に、きっと「運」が巡って来ると思いませんか?
それは人から、応援して見たいと思われる人になる事でもあるのです。
周りから支えられ、応援されれば、もっと頑張ろうと思うようになり、それが成績にも表れるのでしょう。
大谷翔平選手の「目標達成シート」を見れば見るほど、野球に対して、真摯に対峙する、彼の思い入れが伝わって来ます。
そしてこの「目標達成シート」を書き上げたのが、高校1年生の時だと思うと、
改めて、野球を極める人は、他の人とは違うと、誰もが思うのではないでしょうか。
大谷翔平選手は「目標達成シート」を作成する際に、
なるべく具体的に、また少し高い目標を、書き込むようにしたと話しています。
ひとつの大きな目標を達成するために、必要な要素を細分化し「叶えたいこと」への道のりを確立した、とも言えるでしょう。
一度にすべての要素をクリアしていくのは難しいものです。
そこで具体性を高めると、目標を見失わずに進める事が出来るようです。
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大谷翔平と『論語と算盤』
そして、大谷翔平選手の「目標達成シート」で、有名なエピソードがあります。
それは、彼が「目標達成シート」を作成する時に、渋沢栄一の『論語と算盤』を、参考にしていたと言う話しです。
渋沢栄一と言えば、明治維新の激動期に、日本を欧米並みの一等国にしようと奔走した人物で、
日本最初の銀行、第一国立銀行を設立させ、現在のJR、東京電力、帝国ホテルなど、約480社の設立に関わりました。
その一方で、500を超える慈善事業にも関わったとされ、「日本の資本主義の父」と呼ばれています。
渋沢栄一の著書『論語と算盤』では、道徳と経済活動における、双方の必要性が大事だと説かれています。
そんな『論語と算盤』を大谷翔平選手は、一見、野球とは関係なさそうな分野の本まで読んでいて、
それを参考にして「目標達成シート」に活かしていたのです。こんなことまで勉強していたなんて凄くありませんか。
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「目標達成シート」のポイント。
「目標達成シート」を作成する際のポイントとしては、「目標」と「目的」の違いを、理解しておくことだと言います。
目標は目的を達成するために必要な「目印」であり、目的は最終的に到達したいゴールです。
つまり「目的」と言う最終地点に、到達するための過程に必要なのが「目標」という事になるのです。
「目標達成シート」は、目標設定や現状分析、行動指標の確立など様々な場面にも活用できます。
多くの企業や、役所などでも使われていて、
毎年、年度始めに、今年の目標と施策を作成し、上司に提出し、面談を受けている事でしょう。
そして、四半期毎に、その進捗状況がチェックされます。
目標と乖離していれば、そのための対策や施策を求められ、アドバイスを受けることでしょう。
そして、通年が終了した時点でその検証が行われ、
優秀な結果であれば、昇給・昇格と言った人事に反映されます。
結果が残念だった場合には降格もあり得るのです。それだけに「目標達成シート」は、厳しいものでもあるのです。
大谷翔平86のメッセージ 才能が目覚める、活かせる (知的生きかた文庫) [ 児玉 光雄 ]
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あらゆる目標を達成するすごいシート やる気に左右されず結果を出す [ 佐藤 耕一 ]
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「大谷翔平が目標達成シートで掴んだ、メジャーリーグMVP。」への2件のフィードバック
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