『半沢直樹2』面白いワケ!あらすじセリフ名言から徹底解析



『半沢直樹2』が面白い理由!

『半沢直樹』は、何故こんなに面白いのでしょう。

それを証明するように、2013年の前作では高視聴率を叩き出し、最終回の視聴率は関東で、42.2%を記録し、

瞬間視聴率では46.7%と言う爆発的な記録を樹立したのです。そして、「倍返し」と言う言葉が社会現象となりました。

半沢直樹まとめ記事エッセンス一覧


『半沢直樹』7年振りの続編スタート




続編も高視聴率を維持。

今回のTBS日曜劇場の『半沢直樹』は、7年ぶりの続編となります。

第3話(2020年8月2日)の総合視聴率が34.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯)だったことが8月13日に公表されました。

総合視聴率はリアルタイム視聴率と「録画再生率」「録画視聴率」とも呼ばれるタイムシフト視聴率の合計(重複は差し引く)で、

リアルタイム視聴率23.2%、タイムシフト視聴率14.3%と言う好成績を出しているのです。

これ程までに、視聴者を引き付ける『半沢直樹』の魅力とは何なのでしょう。

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(1)〈ストーリーの面白さ〉




次々に襲い掛かる難題を、半沢直樹は如何に乗り切るか。

その大きな要因はストーリーの面白さではないでしょうか。

バブル崩壊後の日本経済では、会社の存亡維持のため、多くの企業が合併、事業縮少を行って、その難局を切り抜いて来ましたが、

そこで働く社員たちには、大きな代償を払わせて来たのです。

合併によって、内部で権力争いに巻き込まれたり、出向と言う名の子会社への左遷など、多くの負担を強いられて来たのです。

その波は、銀行と言えども例外でなく、メガバンクのすべてが合併により、生き残りを賭けて来ました。

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東京中央銀行も合併で生き残りを賭けた。


半沢直樹は、旧産業中央銀行出身。

東京中央銀行も、2002年に半沢直樹や、同期の渡夏利、近藤、大和田常務、岸川部長、浅野支店長らが属していた、旧産業中央銀行と、

中野渡頭取(北大路欣也さん)らの属していた、旧東京第一銀行が、

バブル崩壊後に、多額な不良債権を抱えていた、銀行の事情から合併することで、窮地を打開するために統合をしていたのです。

その結果、東京中央銀行はメガバンクとして、国内第3位の大手銀行になり、日本三大銀行の一角を、占めるようになっていたのです。

しかし、その内部では、派閥争いが絶えず、部署ごとに、旧派閥の名残が消えていませんでした。

こんな中で、行員たちは銀行の業容拡大、利益確保、そしてお互いの出世欲をむき出しにして仕事をしていたのです。

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(2)〈ヒール役の登場で対決相手の鮮明化〉




前作第1部浅野支店長、第2部大和田常務がヒール。

『半沢直樹』の前作の第1部では、京橋支店長の浅野(石丸幹二さん)が、半沢直樹の前に立ち塞がります。

銀行員として、あるまじき、利益誘導や不正で、半沢直樹に対峙するヒール役として登場しました。

そこに、金融庁検査官として、黒崎駿一(片岡愛之助さん)が、これまた、半沢直樹の隙を付こうとして登場しました。

浅野支店長は、自身の利益誘導のために不正な融資を実行し、5億円の損失を出すが、その責任の全てを、半沢直樹に転嫁し、自分の保身に走るのでした。

そんな状況下でも、半沢直樹は損失した5億円の回収を、やって見せたのです。

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第2部では、宿敵の大和田常務の、再三に亘る嫌がらせに耐えます。

窮地に陥った半沢直樹がなんとか事態を打開すると、それに輪を掛けたような危機が、更に彼に降りかかるのです。

それらを振り抜けた時、あの役員会での「土下座をしろ!」の叫びとなり、「10倍返し」をやって呉れ、視聴者は溜飲を下げることが出来たのでした。

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続編1部「東京セントラル証券出向編」




伊佐山、三笠副頭取、諸田はヒールに。

続編の「東京セントラル証券出向編」では、東京中央銀行の伊佐山、三笠副頭取、諸田が、更に、半沢直樹に襲い掛かりました。

電脳雑伎集団が、東京セントラル証券とアドバイザー契約を結ぼうとしていたところを、

親会社の東京中央銀行が横やりを入れて、その案件を奪ったのです。

「対応の遅れで契約を破棄されるのと、銀行からの横槍でそうされるのとでは、意味がまるで違います。」

「こちらがスキームの中身で勝負をする前に、あなたたち銀行はメインバンクの立場を使って強引に顧客を奪い取った。

我々子会社に何の断りもなく、仕事を横取りしたんです。筋を全く通していない。」

「天下の東京中央銀行が、これではまるでヤクザの手口だ!」




それに対して伊佐山は、

「どんなにイキがろうが、どの道、おまえはセントラルからも追い出される。銀行員は人事には逆らえない。半沢、おまえ、もう、終わりなんだよ」

理不尽な伊佐山に対して、半沢直樹はこう発します。

「何かあれば人事、人事と、先生に言いつける小学生のようだ。証券営業部の部長がそんなことしか言えないとは、情けない。

人事だろうと何だろうと、好きにすればいい。私はこのまま終わらせるつもりはありません。

この借りは必ず返します。やられたら、やり返す。倍返しだ!それが私の、モットーなんでね」

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市川猿之助が半沢直樹に迫る。


更に、伊佐山(市川猿之助さん)は、凄い迫力で半沢直樹に襲い掛かります。

「セントラルが抱えている、銀行からの案件はすべて引きあげさせて貰おう」

「自分がどんなにバカなことをしでかしたか、その身をもって思い知るがいい」

「黙ってないで頭の1つも下げたらどうなんだ」

「聞いてんのか?」「詫びろ!」

「詫びろ、詫びろ、詫びろ、詫びろ、詫びろ、詫びろ半沢!」

それらを跳ね除け、因縁の役員会で半沢直樹が吠えたのです。

「この稟議には、重大な欠陥がある!ごみ箱からは、ゴミでしか出てきません」「ゴミ扱いではない、ゴミだと申し上げている」

「この稟議にはゼネラル電設について、なに1つも触れていない。300億円で事業譲渡されているが、100億円の資産価値しかない」

「電脳の粉飾を見抜けていない!」

そして、視聴者は溜飲を下げたのでした。

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続編2部「帝国航空の再建編」




帝国航空の財務担当役員永田宏(山西惇さん)が、内部情報をリークした疑惑が浮上し、半沢直樹と屋上で、激論を交わすシーンが印象的です。

「近づくな!」「あなたからは腐った肉の臭いがする」

更に、帝国航空の社員説明会で半沢直樹は、永田宏に叫びます。

「帝国航空を見くびらないで貰いたい。誇りを持って働いているんだ」

「永田!お前だ、同じ東京中央銀行のお前は、バンカー面(ズラ)して、ここにいる資格はない。出て行け!」

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黒崎駿一(片岡愛之助さん)の言葉。


金融庁に戻っていた黒崎駿一。

帝国航空の件で怒った白井国交省は、東京中央銀行への金融庁検査の仕掛けをしたのでした。その任務を負ったのが、金融庁検査官の黒崎駿一でした。

半沢直樹が、銀行に復帰したことを知らなかった黒崎駿一は、半沢直樹を見つけるなり、歩み寄り、

「あなた、いたの?さては電脳の粉飾を見破ったおかげで、こっちに返り咲いたってわけね。あたしと一緒!」と左目ウインクし、

「急遽、呼ばれちゃってね。正直いい迷惑だったんだけど、あなたが担当者だなんてね~。おかげで、ファイト満々よ!」と、敵愾心を見せたのでした。

そして金融庁ヒアリングが始まります。「150億円の追加融資したわよね。…あなた方の目は節穴なよ」「状況説明書を提出して!」



それに対して、半沢直樹は、「過去の金融庁検査でも、承認いただいております。その件についても、詳しく状況説明書に書かせていただきます」

「俺は、絶対に帝国航空を再建させてみせる。やられたら、やり返す、倍返しだ。まずは、この銀行にいる裏切り者をあぶり出す!」

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半沢直樹と大和田がタッグを組むのか。

半沢直樹「お~ね~が~い~し~ま~す」

東京中央銀行の役員会が終わると、政府に内通しているのが、紀本常務とではないかと判明します。

そこで、半沢直樹が「利害は一致している筈ですが」と、大和田に協力を仰ぐと、

大和田は、頭取のイスに深く腰掛けながら、

「おまえに?1つ、大事なことを忘れていないか?私の協力が欲しいんだろ?なら、それなりの態度ってものがある。小学生でも知っているよ。

人にものを頼む時の(右手の指を折って数えながら)大事な、大事な7文字だ。『お・ね・が・い・し・ま・す』だろ」

それに対して、半沢直樹は考え込み「お願いします」と小声で頭を下げるが、大和田は「聞こえない」。

半沢直樹は、「お~ね~が~い~し~ま~す」とキレ気味に絶叫したのです。


債権放棄を拒否します。




半沢直樹は発します。

「ここにいる、全ての銀行は債権放棄を拒否します」「白井大臣、あなたは現場の人員をネジだと言いました。ネジにも役割があります」

「あなたは、足元のネジを軽んじた」

こうして白井大臣は辞任すると決断しますが、影の実力者、箕部(柄本明さん)は、それを認めず「君は広告塔だ!二度と私に逆らうんじゃないよ!」と言ったのです。


半沢直樹が大和田と連帯を組む。




一瞬の握手をする双方。

大和田は、紀本と箕部幹事長とのつながりを調べ、箕部幹事長の資金の流れを、調べている半沢直樹に、

「どうだろう、改めて私と手を組まないか?」と提案します。

それに対して、半沢直樹は「1ミリたりとも信じられない!」と突き放します。

大和田は、半沢直樹に「この世で一番、お前のことが嫌いなんだよ」と言い放ち、しかし、

「心配なのは頭取だ! 参考人招致などというバカげたものを止めるためにも、何がどうなっているのか、早急に真相を掴む必要がある。

そのためには猫の手だろうと犬の手だろうと、半沢の手だろうと借りなければいけないのだ。お前だって、これ以上、先に進むことができない筈だ」

と、半沢に右手を差し出したのです。



それに対して、半沢直樹は「人にものを頼むときの大事な7文字を以前、教えていただきました。もうお忘れですか? あなたも小学生以下ですね」

すると大和田が「お……。お……。おねしゃす」と小声で言うと、

半沢直樹は「おねしゃす? 2文字足りない」と指摘します。追い詰められた大和田は大声で「お願いします! これでいいだろっ」と言って、

二人は向き合い、お互いに近づいて行きます。そして、一瞬だけ握手するという展開でしたが、あの因縁の二人が握手をしたのです。


箕部幹事長との対決。



金融庁に不祥事を告げると脅す箕部幹事長。

紀本常務から、箕部幹事長が、大和田と半沢に会いたいと言われ、向かった先で箕部から「誤解を解きたい」と言いつつ、

この銀行の不祥事を検証するために、金融庁長官にその事実を話すと脅し、長官へ電話を掛け始めます。

この不祥事が、表に出れば、東京中央銀行の信頼は失墜し、業務改善命令、悪ければ業務停止命令にも、成り兼ねない事態となります。

半沢直樹は、東京中央銀行の抱える、とてつもない“闇の扉”を開くことになるのです。

「銀行には時効と言うものがないんだよね。どうする、半沢君!」

「半沢君、どうなの。どうなんだ~ ~ よっ!」と恫喝したのでした。

この事態に、大和田は「幹事長、大変、大変失礼しました」と深々と頭を下げ、半沢直樹も、白旗を上げざる事態となったのです。

それにより箕部幹事長は、金融庁長官への電話を切ったのです。

そして、金融庁の黒崎駿一も、箕部幹事長の手回しで、左遷されてしまったのでした。


黒崎駿一(片岡愛之助)が重要情報を伝える。

黒崎駿一が金融庁を去る!

半沢直樹は急いで、金融庁に向かいました。そこで、金融庁から出て来た黒崎駿一に出会うのでした。

そこで、黒崎駿一が発します。箕部幹事長の不正を暴けるのは、

「あなたしかいないのよ」と投げかけ、更に、「あなたのことなんて大っ嫌い! だから、最後まで大嫌いなあなたでいてちょうだい」と愛嬌たっぷりに叱咤激励し、

「それじゃ、お世話になったわね」と言って、金融庁を去って行き、政府に逆らう事で、痛い目にあったことを告げたのです。

そして最後に、「伊勢志摩ステートを調べなさい」と、語ったのでした。

立ち去る黒崎を呼び止め、なにも語らずとも、一礼で敬意を表す半沢直樹でした。


隠された箕部のクレジットファイル。




箕部への20億円の行方。

半沢直樹は、東京に戻り、架空支店「荻窪西支店」の段ボールに、証拠の資料があると睨みますが、「荻窪西支店」の段ボールが、無くなっていたのです。

半沢直樹は、この仕業を大和田が行ったと推測し、大和田に詰め寄ります。

「箕部のクレジットファイルを、あなたが何もせずに返す筈がない…」「私が死ねば、あなたも死にます。喋るか、死ぬか、どっちなんだ!」

それに対して大和田は「私の携帯に何故か分からないが、こんなものが映っていた」として、クレジットファイルの中身を映した画像を、半沢直樹に見せたのでした。

中野渡頭取、大和田、箕部幹事長の密会


君には帝国航空の担当を外れてもらう。

ついに、進政党箕部幹事長の不正を暴こうとする半沢直樹が、たどり着いた先にいたのが、

中野渡頭取と大和田、箕部幹事長が密会していたホテルの一室でした。

そして、地下5階の役員金庫に、保管されていた証拠書類は大和田が持ち出し、中野渡頭取が、箕部に返却してしまったのです。

半沢直樹は不正を世間に公表して、謝罪を訴えますが、中野渡頭取は「君には帝国航空の担当を外れてもらう。出ていきなさい」と、冷たく言います。

箕部も「悪いことは言わない。謝っておきなさい。謝りなさい、中野渡さんに。そして私にもだ。小童ー!早よ、やれー!」と土下座を要求したのです。

大和田も「半沢君やりなさい!」と命じ、土下座をさせようと半沢直樹に馬乗りに。「やれ!半沢!」と叫び、「土下座!土下座!」と絶叫し、土下座を強要したのです。

半沢直樹の額が床に付きそうになった瞬間、半沢直樹は、大和田を振り飛ばしたのです。

やり返す、3人まとめて1,000倍返しだ!


3人まとめて1,000倍返しだ。

「頭取、私は銀行を信じています。」そして。箕部幹事長に対しては「あなたは欲にまみれた、ただの老いぼれだ!」

更に、大和田、中野渡、箕部の3人に対して、

「この借りは必ず返します!やられたら、やり返す!倍…いや3人まとめて1,000倍返しだ!」

と、叫びましたが、その目は泣いているように見えました。

なんで、銀行を良くしようとしている自分の思いを、頭取は分かって呉れないのか?

何故、公正な判断を頭取はして呉れないと言っているようでした。

最終回。MVPは白井大臣だった。


花が白井大臣に捧げた一輪のキキョウ。

白井大臣が、半沢直樹の自宅にやって来ます。部屋の中は、妻の花の仕事で使う、たくさんの生花で溢れていました。

白井大臣ファンの花は、一輪のキキョウの花を差し出し「花言葉は誠実です。この国をお願いします」と、話すと、大臣の胸元に花を差しました。

白井大臣が帰った後、半沢直樹は語ります。「出向どころじゃ済まないかもしれない」

それに対して花は、「辞表はサラリーマンの最後の武器」だと言ったのです。

「直樹、いままでよく頑張ったね、お疲れさま。生きていれば何とかなる…」「花…ありがとう」

そして、リンドウの花を直樹に捧げ花言葉は正義!人事なんかクソくらい」と、放ったのです。

半沢直樹の箕部への糾弾。




心の底から国民に詫びてください。

白井大臣の加勢で、形勢は逆転しました。そして、立ち去ろうとする箕部幹事長に対して、

羽田~伊勢志摩路線を何故、タスクフォースの再建計画から削らなかったのか、それは、空港誘致の不正があったからだと公表し、その証拠もついに発見したと言ったのです。

その証拠を持って現れたのが、大和田だったのです。「大和田止めろ、大和田!」公表された箕部の隠し口座は、外国銀行UAE銀行で、そこには入金履歴があったのです。

その金額は100億8,000万円。それに対して箕部は「記憶にありません」

「ここは国会ではありません。国民に向けてキチンと説明してください」

「心の底から詫びてください。幹事長!やりなさい。国民のために、やってください」

それに対して、箕部幹事長は渋々、土下座をすると、早々に会場から逃げ出したのです。

その時、白井大臣が半沢直樹に近づき、手を差し出し二人は握手をしたのでした。

中野渡頭取の最後の言葉。




君はピカイチのバンカーだった。

頭取を辞任した中野渡が大階段で、半沢直樹に語り掛けます。

「ご苦労だった!君はピカイチのバンカーだった。半沢、さらばだ!」

大階段を下りて去ってゆく中野渡を見送り、頭を下げる半沢直樹でした。

大和田の最後の言葉。




やれるもんならやってみな!あばよ…

最後のシーンは、役員会議室で大和田と対面します。

「自分一人で逃げようたって、そうはさせないよ」「死んでもヤダね。もうこの銀行はおしまいだ」

「私は出来ると信じている」

「そこまで言うんだったら、お前が最後まで、責任を取れよ」

「頭取になるしかねえ。それなりの正義を見せろ。受けてたて、受けてたて」

「今度こそ、叩き潰す、やれるもんならやってみな!あばよ…」

そう言うと、大和田は半沢直樹が提出した辞表を破り捨て、銀行を去ったのでした。

半沢直樹は、最後に笑みを見せたようでした。

これは、大和田に乗せられたと察し、大和田の優しさを、しみじみ感じているように見えたその表情が、すべてを物語っていた。

最終回のMVPは白井大臣だった。




花言葉は誠実です。この国をお願いします。

最終回最大の功労者は、白井大臣だったのではないでしょうか。彼女の援護射撃で形勢が逆転したのですから。

最後は自分の信念を貫き通して、箕部幹事長の盆栽を叩き壊したシーンは、見ものでした。

大臣をやめて離党した後の、さわやかな表情も印象的でした。

そんな大臣の気持ちを変えさせたのは、半沢直樹の妻・花が差し出した、一輪のキキョウの花でした。

その花は、箕部幹事長に踏みつけられましたが、白井大臣が大切にハンケチに納めていたのです。

「花言葉は誠実です。この国をお願いします」と、語って渡した花の気持ちが、白井大臣に伝わっていたのです。



(3)〈勧善懲悪の世界観を描く〉

『半沢直樹』には、日本人が大好きな 勧善懲悪を前面に出した、巧みなストーリー展開が、あるのではないでしょうか。

日本人の好きな勧善懲悪の時代劇と言えば、「水戸黄門」や「遠山の金さん」が思い出します。

善良な一井の民が、悪徳代官などから虐げられる展開が続き、最後のクライマックスでは、悪党との一悶着はあった後、黄門様の正体が明かされ、

助さん、格さんが「皆の者頭が高い。このお方を誰かと思う、天下の副将軍水戸光圀公なるぞ!」と発すると、

みんなは驚き、悪党どもがひれ伏し、胸のつかえがスーッとするような、爽快感を味わえるのでした。

一方、遠山の金さんは、最後のシーンでもろ肌になり、「この桜吹雪に見覚えがねぇとは言わせねぇぞ」の、決めゼリフが象徴的に使われ、ここでも悪党どもがひれ伏し、

そして、視聴者は胸のつかえが取れたような、爽快感を味わうのでした。

こんな、勧善懲悪を徹底的に効果的に使っているのが、『半沢直樹』なのではないでしょうか。

そんな半沢直樹は、真面目に仕事をして来たものが、正しく評価される、そんな職場になることを望んでいるのです。

続編では、「施されたら施し返す。恩返しです」という大和田のセリフが登場しました。

主人公の半沢直樹が、部下に対してこんなことを言っています。

「いいか忘れるな。大事なのは感謝と恩返しだ。これまでの出会いと出来事に感謝をし、その恩返しのつもりで仕事をする。そうすれば、必ず明るい未来が拓けるはずだ」


(4)〈歌舞伎役者4人の演技が凄い〉


前作の大和田常務(香川照之さん)、黒崎駿一(片岡愛之助さん)に続き、

続編では東京中央銀行の証券営業部長の伊佐山(市川猿之助さん)、

そして、スパイラルの若きIT企業経営者、瀬名洋介(尾上松也さん)の4人の、歌舞伎役者が出演します。

この4人の、歌舞伎役者の演技が見ものです。

片岡愛之助さんが、証券取引委員会の検査で、東京セントラル証券に現れます。

「随分と『おイタ』してるんじゃないの?」「アタシが代わりにお仕置きしてあげる。只今より、検査を行います。よ・ろ・し・く・ネ」

デスクのパソコンを見て、「これ、直樹のよね」

「直樹がね、ネットでおちおちかくれんぼ どんなに上手にかくれても、私が…」

特に、香川照之さんと、市川猿之助のお芝居は見ものでした。

この2人は、お互いが手を組んでいるのかと思いきや、最後には、市川猿之助さんの裏切りに遭う場面は凄い迫力でした。

「君の名前だけは、しっかりはあった。お前は私を裏切ったのか!

「お前の土下座のせいで、どれだけ煮え湯を飲まされてきたことか。土下座野郎!」

「土下座野郎」と言う、言葉が出た瞬間でした。

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『半沢直樹2』あらすじセリフ名言に学ぶ帝国航空再生の行方


半沢直樹 アルルカンと道化師 [ 池井戸 潤 ]

ここで「半沢直樹 アルルカンと道化師」の紹介。

この作品は、一作目『オレたちバブル入行組』より以前の話です。東京中央銀行大阪西支店で、融資課長を務める半沢直樹のもとへ、

大手IT企業が、業績低迷中の美術系出版社を、買収したいと言う案件が持ち込まれます。

目先の自分の利益だけを考えて、強引に買収案件を進めようとする、大阪営業本部や、上司の支店長に抵抗し、

不可解な買収の理由を追求し、困っている、美術系出版社を守ろとする半沢直樹の、正義感と諦めない姿は、これぞ半沢直樹と言う姿です。

物語では、ある絵画作品が鍵となります。その絵で、一躍、世界的に有名になった画家の、知られざる苦悩や、その絵に隠された秘密が、買収劇に奥行きを与えます。

アルルカンの絵は「この絵を見ているあんたがピエロや、とでもいいたいんちゃうか」と、評されますが、謎に包まれた物語は、登場人物を翻弄するのです。

半沢直樹の「世の中の事象には表と裏があって、真実は往々にして裏面に宿る」と発する、言葉が印象的です。