クリスマスに読みたい、オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』。

 

クリスマスの贈り物。

クリスマスが近づくと思い出すのが、子供の頃のプレゼントです。

親に何度も頼み込み、家の手伝いをすると約束して、やっとクリスマスの日を迎えたものでした。

プレゼントも時代と共に移り変わり、ソニーのプレステーション、Nintendoのファミコン、と遡り、その前は、ボードゲームだったんでしょうか。

憧れのティファニー。

ティファニーブルーの贈り物。

若い女性への、クリスマスプレゼントの定番と言えば、ティファニーブルーの箱に入った、ジュエリーでしょうか。

そのティファニーも、2019年11月にフランスの超高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイヴィトン)が、

160億ドル(約1兆7,400億円)超で、買収することで合意したと報道されました。

1837年にニューヨークで、文具・雑貨店として創業し、アメリカの歴代大統領の御用達宝石商として発展し、

オードリーヘップバーンの『ティファニーで朝食を』で世界的宝石店と、有名になったティファニーですが、

創業から182年 、LVMHの傘下に入ることになったのでした。

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オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』

市民の哀歓を描いた短編小説。

そんなクリスマスプレゼントですが、この時期になると、思い越す短編小説があります。

それは、オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』ではないでしょうか。

オー・ヘンリーは、アメリカの小説家で主に、掌編小説、短編小説を得意としていました。

「掌編」と言うのは、短編よりも短い小説を言うようです。

彼は、市民の哀歓を描がいた、短編小説を多く書いたようで、280余りの短編を、残したと言われています。

賢者のおくりもの [ オー・ヘンリー ]

 

オー・ヘンリーの生涯。

オー・ヘンリーの生い立ち。

オー・ヘンリーは、アメリカのノースカロライナ州、グリーンズボロで、医師の息子として生まれましたが、

彼が3歳の時に母親が亡くなり、教育者の叔母に育てられました。

薬剤師、ジャーナリスト、銀行の出納係など、様々な職を転々とした後、

1896年に、以前勤めていた銀行の金を横領したことで、起訴されますが、逃走し、逃亡の旅を続けます。

賢者の贈り物(新装版) (講談社青い鳥文庫) [ オー・ヘンリー ]

 

そんな彼でしたが、妻の危篤の知らせを受けて、家に戻ったところで、収監されたのです。

服役前から、掌編小説を書き始め居たようで、服役中にも多くの作品を密かに、新聞社や雑誌社へ送り、

3作品が服役期間中に出版されたのです。

模範囚として釈放された後は、フリーランスの記者として働らく一方で、作家としての活動を続けました。

代表作に、『最後の一葉』『都会の敗北』『賢者の贈り物』『警官と讃美歌』などがあります。

数奇な人生を歩み、波乱万丈な一生を送り、晩年は過度な飲酒で、47歳で人生を終えたのです。

さいごの一葉 [ オー・ヘンリー ]

 

オー・ヘンリー傑作集 1 賢者の贈り物 (角川文庫) [ オー・ヘンリー ]

 

クリスマスプレゼントの行き違い。

『賢者の贈り物』

『賢者の贈り物』は、1905年にアメリカの新聞に掲載されたもので、貧しい夫婦が、お互いの大切なものと引き換えに、

クリスマスプレゼントを、贈り合う事で起きた、行き違いを描いた小説です。

 日本では1952年に『オー・ヘンリー短編集』が発行されました。

そして、この物語が広く世間で、知られるきっかけは、

1988年に、ギフト販売の「シャディ」が、CMで放映したことによるものでした。

オー・ヘンリーショートストーリーセレクション(1) 20年後 [ オー・ヘンリー ]

 

『賢者の贈り物』あらすじ。

思いやりの行き違い。

物語のあらすじは、

貧しいジェイムス・ディリンガム・ヤング夫妻は、お互いに、相手のクリスマスプレゼントを、如何しようかと考えていました。

夫のジムはサラリーマンでしたが、景気が悪く、給料が下がるばかりだったのです。

夫のジムは、祖父から父、父から自分へと受け継いできた、金の懐中時計を、とても大事にしていました。

妻のデラは、美しい長い髪を持ち主でしたが、夫の懐中時計に吊るす、プラチナの鎖を買い求めるために、

髪の買取人のところへ行き、自慢の髪をバッサリ切り、お金に換えたのです。

一方、夫のジムは、金の懐中時計を質に入れ、鼈甲の櫛を買い求めます。

この櫛は、ブロードウェイのウインドーに飾ってあって、妻が長く憧れていた櫛だったからでした。  

こうして、お互いへの思いやりのために、

自分の一番大切なものを犠牲にして、相手を喜ばそうとしたのですが、結果的に行き違いが生じてしまうのでした。

オー・ヘンリーショートストーリーセレクション(7) 千ドルのつかいみち [ オー・ヘンリー ]

 

賢者の思いやり。

『賢者の贈り物』は、新約聖書に東方の賢者が、キリストの誕生の贈り物を持って祝いに来た、エピソードをベースに、

贈り物を巡る、行き違いを描いた作品です。

物語の終わりに、夫のジムが妻のデラにこう言うのでした。

「僕たちのクリスマスプレゼントは、少し置いてしまっておこう。今、使うには立派すぎる」。

そして、オー・ヘンリーは、皮肉な運命の結末を「彼等こそ賢者である」と締めくくっているのです。

愛する人のために、愛する人が喜んで呉れる姿が見たくて、

お互いが、自分が一番大切にしていたものを犠牲にしてまで、行おうとした行為に、人の優しさを貰った作品です。

オー・ヘンリー傑作選 「賢者の贈り物」「最後の一葉」 (ステップラダー・シリーズ STEP3) [ オー・ヘンリー ]