2020年の『本屋大賞』が発表されましたが、それってそもそも、どんな賞なんでしょう。
それは、書店の店員さんの投票で決まる賞で、1年間に発売された日本の小説の中で、
「面白かった本」や「自分の書店で是非とも売りたい本」などを選んで、投票で決まるようです。
『本屋大賞』が出来たいきさつ。
この『本屋大賞』が出来たいきさつは、若者を中心とした、本離れが加速する時代になってしまったことが大きな要因でした。
以前は通勤電車の中で、本や雑誌を読んでいる人たちを見かけましたが、
今では、電車の7人掛けの席に座っている人の全員が、スマホをいじっている光景は、日常茶飯事になっています。
通勤電車で新聞を読んでいる人も、少なくなってしまいました。スマホでネットニュースを読んでいるんでしょうか。
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本屋さんは苦労している。
だから、本屋さんは、いろいろ工夫を尽くして、本のおすすめのポップや、手書きの記事を書いていますよね。
私も、ついつい、店員さんのおすすめ記事を、読んでしまう口なんです。
そんな、こんなで、本の売り上げが落ち込む中で、本屋の書店さんがおすすめしたい本を、読者に知らせたいと言うことで、
2004年から『本屋大賞』が出来て、今年で17回目になりました。
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1次投票はこんなことをしている。
1次投票は、全国の書店の店員さん(586人)が、一人3作を選んで投票します。
その投票結果から。上位10作品がノミネートされ、全国の書店でノミネート作品の、フェアが展開される仕組みです。
大賞が発表されるまでの間、ノミネート作品として全国の書店に並びます。
当然、ノミネート作品には注目が集まり、売上の向上が図れます。正に、本屋さんの売り上げ向上に貢献する、一大イベントとなっているのです。
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2次投票はこんな感じ。
2次投票は、ノミネートされた10作品をすべて読んだ書店員さんたち(358人)が、感想を書いて、3位までの順位をつけて投票します。
そして結果発表がされるのですが、
それまでに一定期間の準備期間があって、受賞作品は、きっと書店側に事前に連絡があるのでしょう。
そうしないと、書店側も受賞作品の納品が出来ませんし、出版社側も、増刷が間に合わないでしょう。
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『本屋大賞』大賞発表。
こうして、受賞作品の書籍の用意が出来たところで、受賞作が発表されれば、その時点から、一斉に注目され、
書店では、売り上げが急増するでしょうから、
作家にも、書店にも、出版社にも、そして読者にも喜ばれる、受賞作品のフェアが開催されることになるのでしょう。
これなら「三方よし」ならぬ「四方よし」になるのかもしれません。
このように、効果的に本を売るための工夫が、随所になされているのです。
そして、この『本屋大賞』は、世間で注目を集めることになっているのです。
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過去の受賞作。
過去の受賞作品を見てみると、第1回の小川洋子さんの『博士の愛した数式』をはじめ、
和田竜さんの『村上海賊の娘』、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』など、受賞をきっかけに話題となり、
大きく売り上げに貢献し、映画化された作品まで出てきているのです。
これらの作品は、大きな話題となり「芥川賞」や「直木賞」の受賞作品より、記憶に残っています。
今年の大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』が大賞を受賞しました。
凪良ゆうさんは、男性同士の恋愛を描く、ボーイズラブ(BL)小説を長く描いてきた作家です。
投票の条件は、新刊書を売っている書店の店員さんなら、投票できるようです。
しかし、2次投票に参加するためには、ノミネートの10作品をすべて読んで、感想を書かなければならないそうで、
本気で良い本を選ぼうとする気概がないと出来ないそうです。
そうしないと、作家や出版社などから、誘惑があると困るからなんでしょう。
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『ライオンのおやつ』
今年の『本屋大賞』受賞作品の中で、小川糸さんの『ライオンのおやつ』は、心に沁みる作品でした。
それは、不治の病が見つかり瀬戸内海のホスピス「ライオンの家」へ向かう主人公が船に乗り、
12月25日に、「ライオンの家」代表のマドンナに会うためにやってきます。
その道中で、マドンナはどんな天使なのかと想像したり、
5年前に父親に会ったことを思い出しながら、船上の人となっているところから始まるのでした。
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若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。
(これは、Amazonの商品説明から引用しました)とてもよく表現されているので引用させていただきました。
ダヴィンチの『最後の晩餐』。
『最後の晩餐』は、レオナルド・ダヴィンチの作品の一つで、
キリスト教の新約聖書のうち、マタイによる福音書や、ヨハネによる福音書記されている、
イエスキリストと12使徒による、最後の晩餐を題材にしたものです。
「12使徒の中の一人が、私を裏切る」と、キリストが予言した時の情景が描かれています。
この作品は、ミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に描かれていて、世界遺産になっています。
そして、世間では『最後の晩餐』に、何を食べたいかの議論が、しきりになされています。
『ライオンのおやつ』の「おやつの時間」に、何を食べたいか迷う主人公、
そして、自分が殺害されるかもしれないと予言しながら『最後の晩餐』に臨んだキリスト。
それぞれの人生の終焉で何を食べたいですか。
「2020本屋大賞2位小川糸『ライオンのおやつ』本屋大賞とは何」への5件のフィードバック
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