今こそ!読みたい。本屋大賞の受賞作ランキング~ベストテン




今こそ!読みたい本屋大賞の受賞作ランキング。書店員の目利き

2022年2月26日の朝日新聞に、日本の小説を対象として、書店員が毎年投票で決める「本屋大賞」で、

これまでの受賞作の中で、どの本を読みたいか尋ねたランキングが掲載されていました。

「本屋大賞」は今年で19回目を迎える賞で、書店員さんたちプロの目利きが、愛した小説が何だったのか、気になるところです。



本屋大賞のしくみ。


「本屋大賞」は、新刊を扱う書店の店員(パート社員、オンライン書店の店員も含む)の投票で決まります。

1年間に刊行された日本の小説で、自分が「面白かった」「自分の店で売りたい」と思った本を選びます。

1次投票の上位10作品をノミネート本として発表します。

2次投票は、ノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票します。

忙しい書店員にとって、投票は相当の負担と思われますが、毎年350人前後の書店員が、2次投票に参加しているそうです。

忙しい中で、投票に参加する書店員にとって、自分たちが選んだ賞で、本が売れることがモチベーションになっているそうです。

読者のランキング。



第1位。『博士の愛した数式』/小川洋子


「本屋大賞」第1回受賞作の、小川洋子さんの『博士が愛した数式』が、最も票を集めました。

この小説は、記憶が80分しか保たれない数学者と、家政婦の私、その息子の交流を描いた作品です。

「ぼくの記憶は80分しかもたない」と、博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていました。

記憶力を失った博士にとって、家政婦の私は、常に“新しい”家政婦です。

博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねます。その数字こそが、博士の言葉だったのです。

やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は、驚きと歓びに満ちたものに変わってゆきます。

あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語です。

この小説は2003年に発表され、翌2004年に始まった「本屋大賞」を受賞しました。

作者の小川洋子さんは。「第1回ということで、本屋さんたちも手探りで運営していたのですが、和気あいあいと、部活動のように情熱がありました。

本の世界を一緒に盛り上げていく、本を愛する仲間に私も入れていただいたようで、他の賞とは全然違いました」と話します。

数学者を主人公にした物語のきっかけは、天才数学者らを紹介する、テレビ番組を見たことだったそうで、

「数学は冷徹なものと思っていましたが、研究する人は違うのだと、その人生に興味を持ちました」と語り、

数学者の伝記を読むうちに、数式の美しさや厳密さに心ひかれ、そこから物語が生まれ出て行ったそうです。

登場人物の息子の名前は、数学の記号から付けようと、音の響きが良い「ルート」を選んだそうです。

博士の愛した数式 (新潮文庫 新潮文庫) [ 小川 洋子 ]

【抽出】

小川洋子『博士の愛した数式』あらすじと名言



2位。『舟を編む』/三浦しをん


辞書編集の世界が舞台で、そこに携わる人々の情念が丹念に描かれている小説です。

出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれます。

新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まります。

そのメンバーは、定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。

そして馬締光也がついに出会った運命の女性。

不器用な人々の思いが胸を打つ作品で、編纂に携わる人びとの情熱が、丹念に描かれています。

それは、言葉と向き合い、言葉の森に分け入っているような、感覚さえ与えて呉れるのでした。

舟を編む (光文社文庫) [ 三浦しをん ]

【抽出】

三浦しをん『舟を編む』小説・映画のあらすじと名言。



3位。『蜜蜂と遠雷』/恩田陸



俺はまだ、神に愛されているだろうか?

ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描いた青春群像小説です。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

「ここを制した者は、世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」と言うジンクスがあり、

近年、覇者である新たな才能の出現は、音楽界の事件となっていました。

養蜂家の父と共に各地を転々とし、自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。

かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇し、

CDデビューもしながら13歳の時の母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。

音大出身だが、今は楽器店勤務のサラリーマンで、コンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。

完璧な演奏技術と、音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。

彼ら以外にも、数多の天才たちが繰り広げる、競争という名の自らとの闘いです。

第1次から3次予選そして本選へ、優勝へと挑戦し、成長して、新たな音楽と人生の地平を開く作品です。

蜜蜂と遠雷 [ 恩田陸 ]



第4位。『告白』/湊かなえ


「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」と、

我が子を校内で亡くした、中学校の女性教師がホームルームで、犯人である少年を指し示します。

ひとつの事件を、モノローグ形式で語り手が、「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、それぞれを語らせて真相に迫ります。

そして、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていき、衝撃的なラストを巡り物議を醸した作品で、

子供を殺した犯人への復讐ストーリーですが、唯一無二の気持ちにさせられる作品です。

選考委員全員を唸らせた、新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度です。

告白 (双葉文庫) [ 湊かなえ ]



第5位。『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』/リリーフランキー


オカンは、ボクの一番大切な人です。ボクのために自分の人生を生きた人です。

4歳の時にオトンと別居し、筑豊の小さな炭鉱町で、ボクとオカンは一緒に暮らしていました。

やがてボクは上京し、東京でボロボロの日々を送ります。一方、還暦を過ぎたオカンは、ひとり、ガンと闘っていました。

「東京でまた一緒に住もうか?」。

ボクが一番恐れていたことが、ぐるぐる近づいて来ます。

大切な人との記憶、喪失の悲しみを綴った傑作で、とても泣ける作品です。

エコラム [ リリー・フランキー ]



第6位。『そして、バトンは渡された』/瀬尾まいこ


「優子ちゃんは、あたしがお母さんでよかった?」

高校3年生の優子は、幼い頃に母親を亡くしてから、様々な親の間を「バトン」のように渡り歩き、

今は血の繋がらない父親・森宮さんと2人暮らしをしています。

離れ離れになった実の父親、突然音信不通になった継母の梨花さん、

そして、常にきれいな距離感を保った、血の繋がらない父親・森宮さん…。

家族の形を、丁寧に描いた感動作です。

主人公は、ある意味では、不幸にも見える環境を苦に感じることなく、むしろ肯定すらしているように見えるのです。

そして、バトンは渡された [ 瀬尾 まいこ ]



第7位。『村上海賊の娘』/和田竜

時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいました。その名は、村上海賊…。

瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景(きょう)でした。

景は、軍船に乗り、瀬戸内の海で狼藉を働く者を成敗したり、男勝りの活躍をします。

ある日、毛利家から信長に追い詰められ、窮地に陥った本願寺を救うため、物資を輸送して欲しいと言う依頼が来ます。

村上水軍は、毛利方に加勢することを決め、景も戦いに身を投じていくのです。

海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦(かんぷ)で醜女。

この姫が合戦 前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開くのです。

村上海賊の娘(一) (新潮文庫) [ 和田 竜 ]



第8位。『夜のピクニック』/恩田陸


小さな賭けを胸に秘め、貴子は高校生活最後のイベント歩行祭に臨みます。

それは、誰にも言えない秘密を清算するため…。永遠普遍の青春小説です。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が、夜を徹して80キロ歩き通すと言う、北高の伝統行事でした。

甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭に臨みます。

三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために…。

学校生活の思い出や、卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていました。

夜のピクニック (新潮文庫 新潮文庫) [ 恩田 陸 ]



第9位。『海賊と呼ばれた男』/百田尚樹


1945年8月15日、敗戦で全てを失った日本で、一人の男が立ち上がります。

男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主です。

一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、

借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に、世界との新たな戦いが始まります。

石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かすもの。

「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した、男の歴史経済小説です。

海賊とよばれた男 上/百田尚樹【3000円以上送料無料】



第10位。『52ヘルツのクジラたち』/町田そのこ


52ヘルツのクジラとは、他の鯨が聞き取れない、高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラです。

たくさんの仲間がいる筈なのに、何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われています。

自分の人生を、家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。

孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれるのです。

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