誰にでも思い出の本がある筈です。学生の頃、学校の図書館で借りて読んだ本。
現代国語の中で読んだ教科書に載っていた本。そして、通勤電車の中で、読んでいた本。
でもまだまだ、読んでいない本もたくさんある筈です。人生で一度は読んでおきたい本を集めて、本棚にして見ました。
《目次》おすすめ 34選
先生と出会った鎌倉。漱石『こころ』
夏目漱石『坊ちゃん』無鉄砲の秘密
夏目漱石の『草枕』の名言。
太宰治の『人間失格』
太宰治『富嶽百景』富士には月見草
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』
司馬遼太郎の『坂の上の雲』
松本清張の社会派推理小説『点と線』
松本清張『砂の器』「カメダ」の謎
松本清張『黒革の手帖』
アイザック・ウオルトン『釣魚大全』
セルバンテスの『ドン・キホーテ』
ヘミングウェイの『移動祝祭日』
コナン・ドイル『緋色の研究』
ロアルド・ダール『あなたに似た人』
ディケンズ『クリスマス・キャロル』
オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』
ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』
サン=テグジュペリの『夜間飛行』
サン=テグジュペリ『星の王子さま』
ディヴィット・ソローの『森の生活』
18世紀のアダムスミスの『国富論』
ジェフリーア-チャー『ケインとアベル』
ドラッガーの『マネジメント』
ドラッガー『マネジメント』幸せ…
アランの『幸福論』で幸せになれ…
アドラーの『嫌われる勇気』
お金の名著『バビロンの大富豪』
『君たちはどう生きるか』子供の…
沢木耕太郎の紀行小説『深夜特急』
衝撃的な題名『君の膵臓をたべたい』
読書好きが賞賛『神様のカルテ』
ぼくはイエローでホワイトで、ちょ…
人生最後の食事『ライオンのおやつ』
「先生と出会ったのは夏の鎌倉。夏目漱石の『こころ』」
夏になると、夏目漱石の『こころ』を思い浮かべます。その理由は、冒頭のこんな言葉があるからでしょうか。
主人公の書生の私が、暑中休暇を利用して海水浴に行った鎌倉で、先生に出会うところから、物語が始まります。
「私が先生と知り合になったのは鎌倉である。其時私はまだ若々しい書生であった。
暑中休暇を利用して海水浴に行った友達から是非来いという端書を受取ったので、私は多少の金を工面して、出掛る事にした。
私は金に工面に二三日を費やした。所が私が鎌倉に着いて三日と経(た)たないうちに、私を呼び寄せた友達は、急に国元から帰れと云う電報を受け取った。」
先生と言っても、単に主人公の私が、そう呼んでいるだけであって、実際は、海で偶然に出会った無職の人だったのです。
先生は近づきがたい雰囲気を放っていましたが、先生の学問の知識や思想に惹かれ、
月2、3回ほど、家を訪ねるようになり、次第に先生に傾倒して行くのでした。
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「夏目漱石『坊ちゃん』無鉄砲の秘密」
夏目漱石『坊ちゃん』は誰もが知っている小説で、冒頭の「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」と言う一説から、
坊ちゃんがどんな性格で、この先の人生で、どんな試練が待っているかを読者に暗示しています。
小学生の時に、同級生に「弱虫やーい」と、囃(はやし)られ、
二階から飛び降り一週間ほど腰を抜かし、小使(こづかい)に負ぶさって帰って来た時、
親父から、飛び降りたぐらいで腰を抜かす奴がいるかと問われ、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えます。
そんな軽妙な返事が、可笑しさと無鉄砲な雰囲気を醸し出して、
この冒頭部分だけで、漱石は一瞬にして読者を、一気に物語の世界へと引き込むのです。
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「夏目漱石の『草枕』の名言」
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。
住みにくさが高(こう)じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟(さと)った時、詩が生れて、画(え)が出来る。」
これは、夏目漱石の『草枕』の冒頭の一節で、知ってるよと言う人が、殆どだと思います。
全ての人は理屈を通す人か、情に厚い人か、意地っ張りな人かに、だいたい分類されるとしたら、 そのどれもが、人の世では生きづらい。
つまりどんな人でも、生きづらさを抱えながら、生きているのですよ、という意味の言葉だそうです。
『草枕』は「那古井温泉」と言う、熊本県玉名市小天温泉がモデルになっていて、
この一節は、漱石の言う「非人情」の世界を描いていて、夏目漱石の作品の中でも、特に有名な冒頭の一説です。
いつの時代でも、生きづらさを感じている人はいるでしょう。漱石もそんな思いだったのかと、分からせて呉れる言葉です。
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「太宰治の『人間失格』」
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から、男の手記は始まります。
男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだすのです。
でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのでした。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。
人が生きる意味を問う、太宰治の捨て身の作品です。
太宰治の本名は津島修治。青森県津軽の大地主の家に生まれ、父親は貴族院議員も務め、邸宅には30人の使用人がいました。
小学校を首席で卒業します。14歳の時に父親が病没し、長兄が家督を継ぐ(太宰治は六男)ことになります。
16歳の頃から小説やエッセイを、クラスメートと作った同人雑誌に書き始めたのです。
高校では芥川、泉鏡花に強く傾倒し、中高を通して書き記した習作は、200篇にも及ぶと言います。
彼が18歳の時に、敬愛する芥川龍之介が自殺。猛烈に衝撃を受けた太宰は学業を放棄することになりました。
1930年、東大仏文科に入学。かねてから『山椒魚』等で井伏鱒二を尊敬していた太宰は、上京後、すぐ井伏のもとを訪れ弟子入りをしたのです。
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「太宰治『富嶽百景』富士には月見草がよく似合う」
『富嶽百景』は、太宰治の自己破壊などの、暗いイメージとは異なり、明るく、前向きな雰囲気がある作品です。
太宰治が甲州へ向かった時のことが題材となっており、
その土地の人との交流や、富士山に関するエピソードが、ベースとなっています。
作家の「私」は、甲州へ向かって、井伏鱒二(いぶせますじ)が滞在する茶屋で、過ごすことになりました。
そこは、富士山が一望できる茶屋でした。
私は、富士山が見えるその土地で、見合いをしたり、地元の人たちと触れ合ったりします。
その過程で、私の富士山のとらえ方は、徐々に変化していくのでした。
この小説には、十余りの富士がでてきます。
しかし、単に山としての富士を描写した文章はひとつもなく、富士を書いているようで、実はすべて心境を描いています。
つまり「富士山」と自分の心境、思いを対比させているのです。
そして、有名な「富士には、月見草がよく似合う」の言葉が出て来るのです。
「三七七八米の富士の山と、立派に相対峙し、みじんもゆるがず、なんと言うのか、金剛力草とでも言いたいくらい、
けなげにすくっと立っていたあの月見草はよかった。富士には、月見草がよく似合う」
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「司馬遼太郎の『竜馬がゆく』」
幕末の土佐藩に生まれ落ちた少年坂本竜馬は、気弱で泣き虫、更に、学問の出来ももう一つな、落ちこぼれ男児でした。
しかし、竜馬は剣術修行のため江戸に旅立つと、北辰一刀流の道場で、学びを深め一流の剣士に成長してゆきます。
修行を終えて国元へと帰国した竜馬は、
黒船襲来の衝撃から友人半平太が組織した勤王党の一員として、攘夷思想を明確にしつつありましたが、
やがて勤王党との思想的乖離が目立ち始め、竜馬は脱藩して、自由に日本を飛び回ろうと考えたのでした。
こうして、快男児、坂本龍馬の冒険が幕を開けるのでした。
『竜馬がゆく』は、文庫本で全8巻の長編です。チョット気合を入れないと制覇は難しいと思いますが、
そうさせない程、この小説には、のめり込む魅力があります。どうですか?
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司馬遼太郎『竜馬がゆく』坂本龍馬が旨そうに酒を飲む小説。
「司馬遼太郎の『坂の上の雲』」
日本騎兵を育成し、中国大陸でロシアのコサック騎兵と死闘をくりひろげた秋山好古。
東郷平八郎の参謀として作戦を立案し、日本海海戦でバルチック艦隊を破った、弟の秋山真之。
そして、病床で筆をとり続け、近代俳諧の基礎を築いた正岡子規。
この三人を中心に、明治維新を経て、近代国家の仲間入りをしたばかりの「明治日本」と、
その明治という時代を生きた、3人の男たちの生涯を描いた、司馬遼太郎の歴史小説です。
また、司馬遼太郎の根強い人気作品と言えば、『竜馬がゆく』でしょう。
司馬遼太郎は『竜馬がゆく』の執筆にあたり、神田神保町の古本屋街に行ったそうです。
そこで、複数の古書店から、ワゴン車1台分、当時の価格で1,400万円もの古書、古文書を購入して、
『竜馬がゆく』の執筆にあたったそうなのです。
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きっと読みたくなる、読書の名言。
「松本清張の社会派推理小説『点と線』」
松本清張は、『点と線』(1958年刊)で、社会派推理小説ブームを巻き起こしました。
官庁の汚職事件が捜査が進む中で、課長補佐と赤坂の料亭の仲居が、寄り添沿い死んでいるのが、福岡の海岸で見つかります。
心中なのか? 殺人なのか? 殺害時刻に容疑者は北海道にいたという、鉄壁のアリバイの前に立ちすくむ捜査陣……。
列車時刻表を駆使したリアリスティックな状況を、ベテラン刑事が突き崩してゆき、空前の推理小説ブームを呼んだ秀作です。
特に有名なシーンが、東京駅の13番ホームから、線路を隔てた15番線ホームを、課長補佐と仲居が歩いてきて、
停車中の「あさかぜ」に、仲睦まじく乗り込むのを見たと言う証言でした。
しかし、13、14番線には始終電車が出入りしていて、13番線から15番線ホームを見通せるのは、
1日の中でわずか4分間に過ぎない「空白の4分間」である事を、ベテラン刑事が発見したのです。
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「松本清張『砂の器』東北訛りの「カメダ」の謎。」
『砂の器』(1961年刊)は、東京で発生したある殺人事件で、序盤では、被害者の身元すら不明です。
そんな中で、手掛かりになったのが、関係者らしき男が口にした、東北弁訛りの「カメダ」と言う言葉でした。それは何を意味するのか?
その答えは「亀嵩(カメダケ)」という地名で、その所在地は東北……ではなく島根県!
実は東北弁と出雲弁は、イントネーションが似ている、というのが、重要なトリックになっています。
そして、この亀嵩は、被害者である元駐在さんが、勤めていた土地だったのです。
そして、その元駐在さんが、殺されなけらばならなかった、悲しい過去が明かされるのでした。
特に絶賛されたのが、1974年公開の、野村芳太郎監督による映画版です。
事件の核心にある白装束の親子が、寒風吹きさす辺境の地を、放浪する姿が、目に焼きつき離れません。
砂の器 上 新潮文庫 / 松本清張 マツモトセイチョウ 【文庫】
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【抽出】
「松本清張『黒革の手帖』銀座のクラブ「カネル」」
『黒革の手帖』(1980年刊)はベテラン銀行員の女が、単調なOL生活からの、脱却を図るために、
顧客の架空名義口座リストを、黒革の手帖に書き溜めておき、
銀行の支店長らが、この事実を、隠蔽している事に目を付けて、1億2,000万円を横領します。
支店長らが行っていた、架空預金の事実を明かさない代わりに、横領の事実は不問に付されたのでした。
横領した女子行員原口元子は、銀座の老舗クラブ「燭台」で水商売のイロハを学び、
その近くに、横領した金でクラブ「カネル」開店させます。
そして、黒革の手帖の情報を使って、恐喝まがいの行為で 、より大きなクラブを持ちたいと野望し、
銀座一の老舗のクラブ「ロダン」のママに、のし上がろうと画策するストーリーです。
ちなみに、銀座で開店させたクラブ「カネル」とは、フランス語で、手帖の意味のようです。
明治座の米倉涼子の『黒革の手帖』
『黒革の手帖』は、米倉涼子さん主演でドラマ化され、大きな反響がを呼びました。
それが舞台化され、明治座での公演を観劇した時のことです。
公演が終わり、米倉涼子さんが舞台中央で挨拶した時です。
「今日は素晴らしい方が舞台をご覧いただきました。ご紹介します。舘ひろしさんです」と紹介すると、
1階の客席中央から、長身の舘ひろしさんが立ち上がり、米倉涼子さんと一言、二言、粋な会話を交わして着席しました。
一瞬の出来事でしたが、それが凄くさわやかで、ウイットがあり、とても粋でした。
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【関連】
「アイザック・ウオルトンの『釣魚大全』」
アイザック・ウオルトンの『釣魚大全』『The Complete Angler』(釣魚大全) は、イギリスで一番、いや世界で一番有名な、釣りの本です。
著者のアイザック・ウォルトン(1593年~1683年)は、生涯を賭けて『釣魚大全』(The Complete Angler」)を執筆したイギリスの随筆家で、伝記作家です。
この『The Complete Angler』には副題があって、「瞑想する人のためのリクエーション」と言い、1653年に、初版が発行されました。
今から360年前に書かれたこの本は、300年以上のロングセラーを続けていて、
度々の戦争があるたびに、人々が心の拠り所にしたようで、その都度、読み継がれて来ました。
この本は、釣りの楽しみの、読み物であると共に、故事伝承や、随筆の要素が詰まった読み物です。
静かな田園生活の中で、主人公の釣り人と、猟人などとの会話を、対話形式で物語が構成されており、釣りや、田園、自然を描かれているのです。
彼は妻や6人の子供たちに先立たれ、苦難の人生を送りました。
そして、この『The Complete Angler』(釣魚大全)は、彼が60才の時に執筆し、90歳で没しています。
そんな彼の言葉です。「おだやかなることを学べ。」
完訳釣魚大全(1) (平凡社ライブラリー) [ アイザック・ウォルトン ]
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【関連】
「ミルゲ・デ・セルバンテスの『ドン・キホーテ』」
『ドン・キホーテ』は、スペインの作家、ミルゲ・デ・セルバンテスの書いた小説です。
当時のヨーロッパで流行していた、騎士道物語が大好きな、下級貴族の主人公は、村の司祭と床屋を相手に、騎士道物語の話ばかりしていました。
やがて主人公の騎士道熱は、本を買うために、田畑を売り払うほどになり、昼夜を問わず、騎士道小説ばかり読んだあげくに正気を失い、
妄想に陥った主人公が、自らを伝説の騎士と思い込み、「ドン・キホーテ・デ・ラマンチャ」と名乗って、
痩せこけたロバのロシナンテにまたがり、従者サンチョ・パンサを引きつれ、遍歴の旅に出かける物語です。
そんな、ラマンチャの男『ドン・キホーテ』を、皮肉屋のバーナード・ショーが、見事に言い現わしています。
「ドンキホーテは読書によって紳士になった。そして読んだ内容を信じたために狂人となった。」
ドン・キホーテ 前篇1 (岩波文庫 赤721-1) [ セルバンテス,M. de ]
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セルバンテス『ドン・キホーテ』妄想騎士道のラマンチャの男
きっと読みたくなる、読書の名言。
「パリを描いたヘミングウェイの『移動祝祭日』」
ヘミングウェイの『移動祝祭日』は、1920年代のパリ修業時代の思い出を、61歳の絶筆で書き表したのを、彼の没後、1964年に刊行されたのです。
1920年代のパリを舞台に、第一次世界大戦後の傷を癒していた、22歳のヘミングウェイが、行きつけのカフェで一人執筆に没頭、
ガートルード・スタイン、スコット・フィッツジェラルドと言った、芸術家と交流しながら、パリで過ごす姿を描いています。
『移動祝祭日』と言う小説のタイトルの由来は、彼が親友だったホッチナーに、こう語ったからです。
「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことが出来たら、その後の人生を、どこで過ごそうとも、パリはついてくる、パリは移動祝祭日だからだ!」
『移動祝祭日』と言うタイトルは、ヘミングウェイ自身によるものではありません。
彼の死後、この言葉に感銘を受けたホッチナーの助言で、ヘミングウェイの最後の妻、メアリーが、この題名に決めたものです。パリは、いつだって魅惑的な街だったのです。
移動祝祭日 (新潮文庫 新潮文庫) [ アーネスト・ヘミングウェイ ]
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「アーサー・コナン・ドイル『緋色の研究』」
イギリスの推理小説作家、アーサー・コナン・ドイルが執筆した、シャーロック・ホームズシリーズは、
彼の友人ジョン・H・ワトソン医師が、物語の書き手となり、ストーリーを進める形態の推理小説で、その中でも最初の作品が『緋色の研究』なのです。
ジョン・H・ワトソンがある日、共同生活者として、シャーロックホームの下宿先の、ベーカー街221-Bへやって来ます。
シャーロック・ホームズは、始めて出会ったワトソンに対して、アフガニスタンに従軍し、戦場で左肩に重傷を負い、イギリスに送還された軍医でしょうと、言い当てるのです。
そんなホームズの観察力、推理力に驚かされるようにして、読者を推理小説の世界へ誘うのです。
物語は、スコットランドヤードのグレグスン刑事から、殺人事件の手紙が届き、警察に協力して難事件を、ホームズが解決してゆくのでした。
緋色の研究改版 (新潮文庫) [ アーサー・コナン・ドイル ]
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「ロアルド・ダール『あなたに似た人』」
イギリスの作家、ロアルド・ダールの、ミステリー&サスペンスの短編集『あなたに似た人』を、カズレーザーさんが紹介しています。
この短編集の中には、サスペンスが、11編が収録されていて、彼が紹介したのが「南から来た男」です。
夕暮れの、ジャマイカの海辺のホテルのプールサイドで、くつろいでいると、南米から来た金持ちそうな男が現れます。
そこに、アメリカ軍の訓練生の若い男がやって来て、ライターを盛んに自慢します。
すると、南米から来た男が、そのライターで、10回連続で点火出来たら、自分の新車のキャデラックを差し上げるが、
1回でも失敗したら、あなたの小指を1本、私にくださいと賭けを持ち掛けます。
若い男は、思案をしますが、キャデラックに目がくらみ、その賭けに乗ってしまいます。
賭けが始まり、1回目点火、2回目点火、8回目…と進んだところ、
そこへ南米から来た男の奥さんが入ってきて「バカな賭けは止めなさい」と言ったのですが、その奥さんの手の指が…
と言うミステリ小説なのです。ぜひ、一読して見てはいかがですか? 気になりますよね。
あなたに似た人(1)新訳版 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [ ロアルド・ダール ]
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カズレーザーのおすすめ本『あなたに似た人』~「南から来た男」
「ディケンズの『クリスマス・キャロル』」
『クリスマス・キャロル』は、ロンドンで会計事務所を営む老人のスクルージに起きた、イブからクリスマスまでの出来事です。
彼は、金持ちですが、とてもケチで貪欲で、冷酷無慈悲、守銭奴で嫌われ者で、強欲で金儲け一筋の商売をしています。
クリスマス・イブの夜、スクルージは、ベッドルームで7年前に亡くなった、かつての共同経営者、マーレイの亡霊に出会います。
その亡霊は鎖で繋がれていて、強欲になるな、そんな事をしていては、私と同様に、お前も同じ運命をたどると忠告したのです。
そして、3人の幽霊が来るとを告げます。第一の幽霊は「過去」で、彼はそこで少年時代の自分を振り返り、お金よりも、大切なものを見ていた過去を思い出します。
第二の幽霊は「現在」でした。そこでは、知人たちが貧しい中でも、楽しそうにクリスマスを祝う光景に出会うのでした。
第三の幽霊は「未来」でした。それは死んだ人の噂ばなしで、その人物は、死んでも評判が悪く、その人の墓地の墓碑には、スクルージの名前が記されていて、愕然とするのでした。
スクルージが目覚めると、クリスマスの朝でした。そこで、スクルージは、自分の愚かさに気が付き、心を入れ替えるのでした。
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クリスマスに読みたい人気の本は『クリスマス・キャロル』
「オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』」
クリスマスプレゼントをテーマとした『賢者の贈り物』は、貧しい夫婦が、お互いの大切なものと引き換えに、プレゼントを贈り合う事で起きた、行き違いを描いた小説です。
この物語が広く日本で、知られるきっかけは、1988年に、ギフト販売の「シャディ」が、CMで放映したものです。
貧しい夫婦がお互いに、相手のクリスマスプレゼントを、何にしようかと考えます。
夫はサラリーマンでしたが、景気が悪く、給料が下がるばかりだったのです。夫は、祖父から父、父から自分へと受け継いできた、金の懐中時計を大切にしていました。
妻は、美しい長い髪を持ち主でしたが、夫の懐中時計に吊るす、プラチナの鎖を買い求めるために、髪の買取人のところへ行き、自慢の髪を切り、お金に換えます。
一方、夫は、金の懐中時計を質に入れ、鼈甲の櫛を買い求めたのでした。この櫛は、妻が長く憧れていた櫛でした。
お互いの行き違いで、それぞれのプレゼントは意味を為さなくなりますが、相手を思いやる優しい気持ちが伝わって来ます。
物語の最後に、夫が妻に言います。「僕たちのクリスマスプレゼントは、少し置いてしまっておこう。今、使うには立派すぎる」
オー・ヘンリー傑作集 1 賢者の贈り物 (角川文庫) [ オー・ヘンリー ]
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クリスマスに読みたい、オ・ーヘンリーの『賢者の贈り物』。
「ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』」
ヘルマン・ヘッセは、ドイツ生まれのスイスの作家で、主に詩と小説によって知られる20世紀前半の、ドイツ文学を代表する文学者です。
南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多く、また、ヘッセは、風景や蝶々などの水彩画もよく描き、自身の絵を添えた詩文集も、刊行しています。
1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞しました。
ヘッセの代表作と言えば『車輪の下』です。
それは、ドイツの田舎町、シュヴァルツヴァルトで、幼い頃から優秀だった主人公のハンスが、神学校へ入学します。
地元の期待を一身に背負い、共に学ぶ友人もいない中で、勉強に明け暮れ、淡々と続く生活の中で、
やせ細った青白いハンス少年は、追い詰められて、1年も経たずに休学し、そして、悲しい結末が待っていたのです。
そんなヘッセの読書の言葉です。
「書物そのものは、君に幸福をもたらすわけではない。ただ書物は、君が君自身の中へ帰るのを助けてくれる。」
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きっと読みたくなる、読書の名言。
「飛行士サン=テグジュペリの『夜間飛行』」
『夜間飛行』は、パイロットでもあり、『星の王子さま』などで有名な、サン=テグジュペリによって描かれた、郵便事業に命をかけた、男たちの物語です。
この作品は、1931年に、フランスで出版されました。当時、夜に飛行機を飛ばすという行為は、とても危険なものでした。
その危険な事業を使命として、やり続けた男がリヴィエールという人物でした。
彼はとてつもなく冷徹な男で、部下による1つのミスも許さず、即刻クビにしてしまいます。
彼はなんとしても、夜間飛行を成功さなかければいけないと、考えていたのです。
そして、サン=テグジュペリと言えば、『星の王子さま』です。「大切なものは目には見えない」と言う有名な言葉が象徴的な作品です。
夜間飛行改版 (新潮文庫) [ アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ ]
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「サン=テグジュペリの『星の王子さま』」
『星の王子さま』の中で、サン=テグジュペリのこんな言葉が印象的す。
「大切なものは、目に見えないからね。」
人は目に見えるものを大事にしますが、本当に大切で大事なものは、目に見えない、心の中や、気持ちの中にあって、
人を思いやる気持ちや、助け合う心、人への感謝の思いなど、目には見えませんが、
大切にしなければならないものが、たくさんあると言っているのです。
サン・テグジュペリは、1900年にフランスのリヨンで生まれ、
幼少期より飛行士に憧れて、兵役に志願し陸軍飛行連隊に入隊、軍用機操縦士に従事、退役後も民間飛行士として活躍しました。
軍隊に属しながら26歳で作家デビューしますが、第二次世界大戦に召集され、
ドイツ軍のフランス侵攻を受け、アメリカへ亡命し、ニューヨークで『星の王子さま』を執筆したのです。
その後、自ら志願して。北アフリカ戦線に赴き、偵察部隊に着任するも、
1944年7月地中海コルシカ島から、偵察飛行に飛び立ち、そのまま消息を絶ったのでした。
星の王子さまオリジナル版 [ アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ ]
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「ヘンリー・ディヴィット・ソローの『森の生活』」
アウトドアはお好きですか。日常を離れて森林浴を行う人も増えています。良い季節になったら遠出しませんか。
そんな季節の中で読んで見たくなるのが、大自然の森の中で、自然を追求した、
アメリカの作家、詩人、思想家、博物学者のヘンリー・ディヴィット・ソローの『森の生活』です。
彼は、1817年に、マサチューセッツ州コンコード市で生まれました。ハーバード大学を卒業しましたが、生涯を通じて、定職に付かなかったようです。
そんな彼が、27歳の時に、ウォールデン池畔の森の中に、丸太小屋を建て、自給自足の生活を、2年2ヵ月間送りました。
その経験を生かして、代表作『ウォールデン森の生活』を、1854年、彼が37歳の時に出版しました。
その内容は、自然や湖、動物などの描写の他に、人間の精神、哲学、社会環境など、幅広く言及し、
今でも、アウトドア派や、ネイチャーリストの、バイブル的な存在になっている一冊なのです。
ソロー『森の生活』を漫画で読む シンプルに暮らそう! [ ヘンリ・デーヴィド・ソロー ]
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「18世紀の経済学者、アダムスミスの『国富論』」
『国富論』をご存じですか。18世紀の経済学者、アダムスミスの著書です。
彼は1723年にスコットランドで生まれ、近代経済学の父と呼ばれました。
富とは、国民の労働力で生産される、必需品と便益品だとアダムスミスは言います。
必需品とは、食料品や住居など、日常生活の全般に必要な物です。一方、便益品は、贅沢品などの嗜好品などを指すようです。
そして、このような消費財が、社会の富だと言うのです。
輸入で得た、貴金属や財宝を輸出して、それによって、素晴らしい消費財を輸入すれば、
その消費財で、人は豊かに暮らせ、社会が豊かになる事が、国の富みだと考えました。
アダムスミスは、富を殖やす方法は、分業だと考えました。
例えば、縫い針製造工場で、針を作るとした場合には、金属棒を切断し、細く延ばし、先端に穴を開け、針先を削ります。
これを、それまでは、一人で作業していましたが、金属棒を切断し、細く延ばし、
先端に穴を開け、針先を削る行程を、その作業ごとに、分業する事で、効率的になると説いたのです。
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アダムスミスの『国富論』その「神の見えざる手」て何。
「読みだしたら止まらない『ケインとアベル』」
ジェフリー・アーチャーの『ケインとアベル』は、150万部を売り上げた、伝説のミリオンセラー小説です。
1906年4月16日、遠く離れたポーランドと、アメリカ合衆国に、2人の男の子が誕生しました。
ポーランドの山奥で私生児として、貧困と劣悪な環境に生まれたヴワデグ(アベル)は、貧しい罠猟師に拾われ、実の子同然に育てられます。
学校で優秀な成績を修めた彼は、やがてロスノフスキ男爵の子息レオン(実は腹違いの兄弟)の学友として、男爵の城で教育を受けるようになります。
ポーランド・ソ連戦争により、ソ連の強制収容所に連行されますが、その後アメリカへ移民し、ホテル王へと登り詰めます。
一方、アメリカに生まれたウィリアムは、銀行家の一族ケイン家の長男として生まれ、
父の後を継ぐ銀行家として、素晴らしい一生を、約束されていました。
しかし、12歳の時、彼の父親がタイタニック号に乗り合わせていた事で、年若くしてカイン家の家長となります。
タイタニック号事故による、父親の死などで、家庭の不幸に見舞われつつも、次第に才覚を発揮し、
ハーバードを卒業後は、父の銀行で働きだし、ウィリアム・ケインは、アメリカでも有数の、銀行の頭取になるのでした。
しかし、その間、1929年にウォール街大暴落による、世界恐慌が起き、アベルにチャンスをくれた恩人が、
大恐慌で、ケインの銀行からの融資を打ち切られ、株式市場の暴落で破産た事を苦に、自殺してしまいます。
こうして、アベルはケインを恨み、2人は事あるごとに対立し、不倶戴天の敵となるのでした。
この作品は、20世紀の現代史を背景に、戦争や時の大統領選挙、
自動車の発明などが物語に組み込まれ、時代性を上手に表した作品となっているのです。
そして、因縁の二人がどうなってしまうのか、驚きの展開が待っているのでした。
ケインとアベル(上巻)改版 (新潮文庫) [ ジェフリー・アーチャー ]
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「ピーター・F・ドラッガーの『マネジメント』」
ピーター・F・ドラッガーの『マネジメント』と言うと、企業にお金儲けのノウハウを教える、ハウツー本のように思いますが、
実際は「人間が如何に幸せに生きるか」を、ドラッカーは説いています。
より良い社会を築いてゆくための、組織づくりを書いたのが『マネジメント』なのです。
この本は、お金儲けのための方法ではなく、人が働く社会が、正しい社会であるための方法が、したためられているのです。
企業が行うことは、企業は何を売りたいかでなく、顧客が何を買いたいのかを、考える事だと言います。
そして、ドラッカーはこのように言っています。「企業とは何かを知るためには、企業の目的から考えなければならない。
企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。
企業の目的の定義は1つしかない。それは、顧客を創造することである。」(マネジメントより)
マネジメント[エッセンシャル版] 基本と原則 単行本 中古 ピーター・F・ドラッカー マネジメント
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「ドラッガー『マネジメント』は幸せの経営書」
『もし高校野球部の女子マネージャーが、ドラッガーの「マネジメント」を読んだら』が、ベストセラーになったからです。
『マネジメント』と言うと、企業にお金儲けのノウハウを教える、ハウツー本のように思いますが、
実際は「人間が如何に幸せに生きるか」その組織づくりを書いているのです。
この『マネジメント』の中で、ドラッガーは「仕事を通じて働く人を生かす」と書いています。
これは、現代社会では、人は何らかの組織に属して、人生の大半を過ごし、収入を得ています。
そうだとしたら、多くの人が働いている、その組織を良くすれば、
組織の集合体である社会も、いずれ、良くなるという考えを、ドラッガーは持っていたのです。
だから、高校野球部の女子マネージャーは、野球部を取り巻く学校や、地域の環境を良くすることが、勝利に繋がることを知っていたのです。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら (新潮文庫) [ 岩崎 夏海 ]
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ドラッガーは『マネジメント』で、幸せの方法を示している。
「アランの『幸福論』で幸せになれるのか」
ヒルティの『幸福論』1891年、アランの『幸福論』1925年、ラッセルの『幸福論』1930年です。
その中でも、人気が高いのはアランは『幸福論』です。
アランは、フランスのノルマンディー出身の哲学者で、フランスの後期中等教育機関『リセ』の教師をしていました。
彼の幸福論は概略で言うと「幸福になろうとしないと、幸福にはなれない。そして、それは心と体の使い方で決まる」と、言うのです。
アランは、幸福や不幸は自然に降って来るものではなく、自分で作り出すもの、
不幸に感じている人は、得てして周囲や環境の悪さを、その原因にしている。
マイナス思考に向いてしまい、不幸を呼び寄せている。幸福になるには、自分の不幸を他人に話してはならぬと諭しています。
そして、「幸せにはキリがない」とも、言っているのです。
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アランの『幸福論』の名言と、お金(収入)と幸せの関係性。
「アドラー心理学の『嫌われる勇気』」
世間では「嫌われる」と言うキーワードで、2つの話題が持ち上がっています。
1つはメジャーリーガーだったイチローさんが、SMBC日興証券の「おしえて!イチロー先生」で語った「他人から嫌われるの大好き」と言う発言で、
好かれるために迎合するのではなく、プロ野球選手として結果で評価して欲しいとして、
ストイックな生活や行動をして、結果を出して来た、イチローさんらしい言葉を披露していました。
もう1つは、アドラー心理学を、紹介した本として有名になった『嫌われる勇気』です。
アドラーは、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための、具体的な方策を提示しているのです。
人生には色々な苦しみがありますが、そのすべての悩みの原因は、対人関係だとマドラーは言い切るのです。
他の人から認めて貰いたいと言う、承認欲求を充たすために、嫌われないように立ち回る生き方は、不自由極まりない、
その開放のために、嫌われる勇気を持ちなさいと、言っているのです。
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イチロー先生の嫌われるの大好き、マドラーの嫌われる勇気
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え [ 岸見一郎 ]
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「お金の名著ベストセラー『バビロンの大富豪』」
20世紀初頭にアメリカで出版され、多くの成功者を生み出した、
不朽の名著『バビロンの大富豪』は“元祖・お金のベストセラー”とも言うべき作品です。
古代の寓話を元に、堅実な利殖と倹約の大切さを説き、多くの人々に、世界大恐慌後の、生き残りの道筋を示しました。
古代バビロニアの首都、バビロンで暮らしていた、貧乏な武器屋バンシルは「どうして自分は貧乏なのか?」「どうやったらお金持ちになれるのか?」と、
その答えを知るために、バビロンで一番の大金持ちアルカドに聞きに行きます。
アルカドはバンシルを見て、可能性を感じ、その答えを話すことにしました。
アルカドは「黄金を生み出す5つの法則」を授け、金貨を2倍にするまで、バビロンに戻って来てはいけないと言う、厳しい試練を与えたのでした。
そして、それ以上に、お金を増やすのに必要なことは「守りたいもの」を持てと言うことでした。
「守りたいもの」が自分を成長させて呉れる礎となり、守るべき存在は、自分を強くして呉れるものなのです。
そして、それがあれば、何度も戦えると言うのです。
バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか [ ジョージ・S.クレイソン ]
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「『君たちはどう生きるか』子供のための哲学書」
『君たちはどう生きるか』という本は、1937年(昭和12年)に刊行されました。
昭和12年と言えば、第二次世界大戦が始まる2年前。その本がコミックとして最近出版され、脚光を浴びているのです。
この本のテーマは、いじめ、貧困、差別などに対して、如何に勇気を持って立ち向かうかを、考えさせられる内容です。
主人公のコペル君はおじさんに相談しています。
友達がいじめに遭っていて、懲らしめたところ、その兄が仕返しに来ます。みんなで暴力に立ち向かおうと誓ったのに、
コペル君は、怖くて隠れてしまいます。そのため、友達たちは傷を負って泣いていました。
そして、裏切り者のコペル君を無視し、そのことで、コペル君は不登校になってしまいます。
そんな状況を改善したく、おじさんに仲介を頼むのですが、おじさん答えは…
「コペル君、いま君は、大きな苦しみを感じている。なぜ、それほど苦しまなければならないのか。それは、君が正しい道に、向かおうとしているからなんだ。」
漫画 君たちはどう生きるか[本/雑誌] / 吉野源三郎/原作 羽賀翔一/漫画
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世界一受けたい授業で称賛『君たちはどう生きるか』の名言。
「沢木耕太郎さんの紀行小説『深夜特急』」
全6巻と、気合を入れないと、読破に時間が掛かる本を紹介します。
それは、作家の沢木耕太郎さんの紀行小説『深夜特急』です。
1986年に第1夜が刊行され、既に34年経ち、現在では、新潮文庫で、6冊に分冊化される形で、刊行されています。
イギリスのロンドンまでを、バスで一人旅をする為、日本を飛び出した26歳の主人公「私」の物語です。
仕事をすべて投げ出して旅に出て、途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう、筆者自身の実話に基づいた、貧乏旅の魅力を最大限に引き出した作品です。
ただあてもなく異国の地を彷徨い、見るものすべてが新鮮で、日本の常識など当然通用しない、
危険と隣り合わせの、行き当たりばったりのこの旅が、なぜか魅力的に映るのす。
この本は、バックパッカーの間で、いわばバイブル的に扱われる本となり、80年代と90年代における、日本の個人旅行ブームの一翼を担った本だったのです。
深夜特急1 香港・マカオ (新潮文庫) [ 沢木 耕太郎 ]
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「衝撃的なタイトル『君の膵臓をたべたい』」
とても衝撃なタイトルですが、胸が熱くなる素晴らしい物語です。
ある男子高校生と、余命わずかな女子高生の日常を描き、読み終われば、このタイトルの素晴らしさに気づかされます。
高校二年の四月、高校生の春樹は、盲腸の手術後の抜糸で病院を訪れ、ロビーのソファに置かれた一冊の文庫本を見つけます。
書店のカバーが掛けられていて、外すと本来のカバーはなく、太いマジックで手書きで『共病文庫』と書かれていました。
春樹がページをめくると、共病文庫は日記で、そこには膵臓の病気で数年内に死んでしまうこと、家族以外には内緒にしていることが書かれていました。
見てはいけないと本を閉じますが、声を掛けられ、振り向くと持ち主の少女が立っていました。少女は春樹のクラスメイト・山内桜良で、彼女の秘密の日記帳だったのです。
彼女は共病文庫に書かれている事が真実であり、クラスメイトには内緒にして欲しいと言い、何もない様子で病院を後にします。
翌日、桜良は春樹と同じ図書委員に立候補し、それから二人の交流が始まります。そして、最後に春樹が、桜良に送ったメールが「君の膵臓をたべたい」だったのでした。
【新品】君の膵臓をたべたい 上下巻 (1-2巻 全巻) 全巻セット
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「『神様のカルテ』読書好きが賞賛する本」
『神様のカルテ』は、医師の夏川草介さんによって執筆された、医師たちの生活を綴った小説で、シリーズ化されています。
夏川草介さんはペンネームで、それぞれの文字を著名な作家からとっていて、「夏」は夏目漱石から、草介の「草」は漱石の作品『草枕』からが由来です。
『神様のカルテ』では、主人公が夏目漱石の大ファンで『草枕』を暗唱していて、これは作者自身がモデルのようなのです。
主人公の医師は、長野県の地方病院に勤務していましたが、大学病院からスカウトの話が来たことで、
現在よりも良い労働環境で、最先端の医学を研究できる条件に、心は揺れ動き苦悩する中で、医師の在り方を自問するのです。
小説の中で、藤村の『夜明け前』、漱石の『草枕』『彼岸過迄』『夢十夜』『こころ』など多くの作品が登場します。
主人公が、夏目漱石の『吾輩は猫である』に、登場するような口調で話すことで、読書心をくすぐる小説に仕上がっています。
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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
この本の著者、ブレイディみかこさんは、1965年に福岡で生まれ、高校卒業後、アルバイトと渡英を繰り返し、1996年から、イギリスの南端のブライトンに在住し、
ロンドンの日系企業で数年勤務した後、イギリスで保育士の資格を取得し、働きながらライター活動をしています。
ブレイディみかこさんのご家族は、アイルランド人の夫と、息子さんが一人います。
配偶者の夫は、ロンドンの金融街シティにある、銀行に勤めていましたが、
数年後にリストラされると、子供の頃からやりたかった、大型ダンプの運転手に転職しました。
日本人の母と、アイルランド人の父の間に生まれた息子さんは、
自分のアイデンティティが、日本なのか、イギリスなのかに悩みながら、思春期を迎えたのでした。
そしてある日、ブレイディみかこさんは、息子さんの部屋にある、机の上の国語のノートの、落書きが目に入ったのです。
青い色のペンで、ノートの端に、小さく体をすぼめて、息を潜めているような筆跡で、
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」と記されていたのです。
この本は、そんな少年にとって、イギリスの教育や社会とは何なのかを、説いているのです。
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー [ ブレイディ みかこ ]
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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー、好きな名言
「人生の最後になに食べる『ライオンのおやつ』」
人生の最後に食べたいおやつは何ですか?食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れる話の小説があります。
それは『本屋大賞』受賞の、小川糸さんの『ライオンのおやつ』です。
それは、不治の病が見つかり瀬戸内海のホスピス「ライオンの家」へ向かう主人公が船に乗り、代表のマドンナに会うためにやってきます。
その道中で、マドンナはどんな天使なのかと考えたり、5年前に父親に会った事を思い出しながら、船上の人となっていたのです。
主人公は、健康な頃は、明日が来ることが当たり前と信じて生きていましたが、
それは本当はとても、幸せなことだったと悟ったのでした。
海が見られるホスピス、そこには、暖炉がある「おやつの間」があり、そこでは、毎週日曜日午後3時からお茶会があり、
選ばれた1種類のお菓子が、全員に提供されると言う、人生の最後を考えさせられる物語です。
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「人生で一度は読みたい本。名文・名言・あらすじの本棚。」への7件のフィードバック
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